2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861527
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木谷 令 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (80436047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外有毛細胞 / コレステロール / 脂質二重膜 / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロールはすべての細胞に存在する脂質二重膜の重要な構成要素であるだけでなく、膜上に点在するマイクロドメインの主要成分でもある。このコレステロールの豊富なドメインは種々の細胞内シグナル伝達において重要な役割を担っていることが示唆されており、細胞膜コレステロールの増減は聴覚、特に外有毛細胞(Outer Hair Cell, OHC)が密接に関与する蝸牛増幅機構に変調を与える可能性についての報告がパッチクランプ法を用いた研究にていくつか示されるようになり、OHC膜コレステロールの増減がOHCの電気的運動能に影響を与えることがわかってきた。本研究ではコレステロールを中心としたOHC内シグナル伝達の役割を解析し、それらが聴覚に与える影響について模索する。 まずはモルモット蝸牛から得られたコルチ器または急性単離したOHCに作用させ、数秒にわたるその形態変化を直接ビデオ録画し経時的に解析するための準備としてのシステムの構築が前年度おおむね完了した。OHCにコレステロール除去薬を作用させるとOHC細胞長は短縮し細胞幅は大きくなる。ところが一方、コレステロール(cholesterol, water-soluble)をOHCに作用させた場合は、たとえコレステロールを除去した後に投与した場合でも、細胞長が変化することはなかった。またOHC内シグナル伝達系としてRhoA→ROCK→LIMKカスケードなどが注目もされているが、ROCK inhibitorであるY-27632などを投与しても細胞長自体に変化はなく、コレステロール除去による細胞長変化の度合いを変えることもなかった。これらのことは、コレステロールの増減が細胞骨格に影響を与えることを示唆するが、細胞内シグナル伝達の経路としては単一経路だけの制御では説明がつかないことも同時に示している。
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