2015 Fiscal Year Annual Research Report
腺様嚢胞癌における神経周囲浸潤を規定する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
25861533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 謙也 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究医 (80648311)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腺様嚢胞癌 / 神経栄養因子 / NGF / TrkA / MYB NFIB融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は腺様嚢胞癌における神経周囲浸潤と神経栄養因子、及びMyb過剰発現・新規MYB-NFIB融合遺伝子の関与を解析することで、神経周囲浸潤のバイオマーカーの確立を目指し、治療における局所制御率と生存率の向上を目指している。 まずは、神経栄養因子とその受容体の発現との関与であるが、神経栄養因子の一つであるNGFとその受容体のTrkAはともに65%で過剰発現しており、両者の発現には正の相関関係があった。さらに神経周囲浸潤の程度が強いほど、いずれも有意に過剰発現していることが免疫染色にて示された。NGFのもう一つの受容体であるp75NRTは30%で過剰発現していたが、発現率と神経周囲浸潤に相関は認めなかった。局所制御率との関連をみると、NGFが過剰発現している症例では、有意に局所制御率が低い傾向にあった。以上より、NGF/TrkA系の過剰発現は神経周囲浸潤に関与しており、局所予後にも影響を及ぼしている可能性があることが示唆された。 次に、Myb及びMYB-NFIB融合遺伝子についてであるが、Mybは免疫染色において62%で過剰発現を認めた。FISH解析による、MYB-NFIB融合遺伝子の過剰発現は45%であった。Myb過剰発現症例では、有意にMYB-NFIB融合遺伝子の過剰発現を認めていた。しかしながら、神経周囲浸潤の程度、局所制御率、疾患特異的生存率との関連性は認めなかった。以上より、Myb免疫染色により、MYB-NFIB融合遺伝子過剰発現の予測はできるものの、神経周囲浸潤の予測や、予後との関連性がないことが示唆された。 今後の研究の展開としては、NGF系の下流シグナルを明らかにすることで、タンパク分解酵素による神経鞘の破壊が起こるまでの詳細なメカニズムの解析に努めようと考えている。さらには、近年注目されつつある、腫瘍の免疫逃避機構との関連性も解析できればと考えている。
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Research Products
(4 results)