2014 Fiscal Year Research-status Report
フラビン蛋白蛍光イメージングによる両耳分離補聴の検討
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25861536
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 伸介 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (70632438)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分離補聴 / 周波数分解能 / 大脳聴覚野 / フラビン蛋白 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
感音難聴者の多くでは補聴器を装用しても語音明瞭度が向上せず、従来方式の補聴器装用では、「声はきこえるが言葉はわからない」という不満を訴える患者が多い。語音明瞭度に影響を及ぼす因子として、周波数分解能が挙げられる。周波数分解能が低下すると、低周波数帯域成分による高周波数帯域成分へのマスキング(周波数マスキング)の影響が健聴者より顕著になり、音声で最も強い成分である第1ホルマント(F1)による高次ホルマントや後続子音へのマスキングの影響が増大するといわれている。周波数マスキングの影響の回避を目的として、入力音声を周波数軸上で相補的に分割し、左右の耳に振り分けて提示する両耳分離補聴(Dichotic)方式の補聴処理が期待されている。 本研究の概要を以下に述べる。まず周波数分割されていない変調周波数(FM)音をマウスの両耳に同一の刺激音を聴かせ、その聴覚野の反応をフラビン蛋白蛍光イメージングにより計測し、対照群とする。その後、対照音として用いたFM音をパスフィルタで周波数分割して出力し、例えば高周波数帯域を右耳に、低周波数帯域を左耳に聞かせ、その時の両側聴覚野反応を計測し、対照群と比較検討する。さらに分割周波数を数パターンに変更する事、また左右の高周波/低周波の振り分けを逆にする事により、両耳分離補聴の有効性を検証することが本研究の目的である。 過去に利用していた実験装置では両耳同時刺激に対する大脳聴覚野活動の記録は一側のみ可能であったが、新たに水平方向に顕微鏡を2台、両側に設置することで両側聴覚野の同時記録が可能な環境が整った。過去のシステムで計測したわれわれのデータを参考として、新たなシステムで再現性のある安定した記録をとることを繰り返している。本研究を進めるための先行的な実験を行いながら、パスフィルタを設置して本研究で用いる刺激音の作成やシステムの準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
フラビン蛋白蛍光イメージングによる両側大脳聴覚野の同時測定が本研究の重要な実験手技である。安定したデータをとり、再現性を高めるために実際に使用する実験システムで先行実験を繰り返すこと、また本研究で用いるパスフィルタをシステムに組み込むことに留まったため、当初の計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対照群となるFM音両側同時刺激、両側聴覚野の同時計測データの解析を行う。その後、現在設定を行っている広帯域プログラマブルフィルタ3625(パスフィルタ)のパラメータを変更して対照音を周波数分割し、左右で独立した周波数帯域をマウスに聴かせ、その際の両側聴覚野反応を同時計測し、対照群と比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
現在は予備実験的な先行実験を反復しデータの再現性を高める事、また本研究において重要な周波数分割出力をシステムに組み込んでいる段階である。今後は本研究のテーマである両耳分離補聴に対する聴覚野反応を解析する予定であり、さらに研究の継続が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用マウス、麻酔薬などの薬剤、固定器具などの消耗品等に使用する。また研究成果発表や情報収集のための学会参加時の旅費などにも使用する予定である。
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