2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鬼頭 良輔 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (80419358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 突発性難聴 / 遺伝子 / 酸化ストレス / SNPs |
Research Abstract |
突発性難聴の発症における遺伝的な背景を同定するため、遺伝子バンクに集積された192症例のサンプルを用いて候補遺伝子関連解析を実施した。候補遺伝子の絞り込みのために、HapMapのアレル頻度データと、信州大学で集積したコントロール群のアレル頻度データを用いて段階的な解析を行った。その結果、酸化ストレス関連遺伝子であるSOD1遺伝子の多型についてアレル頻度に有意差を認めた。この遺伝子多型について、症例の臨床データを用いてさらに検討を加えた結果、閾値上昇が60dB以上の群と耳鳴症状を有する群に限定した場合に、よりコントロール群とのアレル頻度の違いが明確となった。 本年は、SOD1/SOD2/GCLM/CYBA/PON1/MPO/CAT/GSTP1/ GSR/NOS3の10遺伝子の13遺伝子多型について解析を行った結果、単遺伝子のχ2乗検定で有意差を認めたものはなかった。p値が0.1以下のものを傾向の認められた遺伝子とすると、minorアレル関連で聴力の重症度が上昇する(60dB以上が多い)ものとして、SOD1 rs4998557:minor homoでは重症度が高いp=0.095、SOD2 rs4880:minor homo / heteroでは重症度が高い p=0.097、GSR rs3779647 :minor homo/ hetero では重症度が高い p=0.113 majorアレル関連で重症度が上昇するものとして、GSTP1 rs1695:major homoで重症度が高い(p=0.08)、CAT rs769217 :major homoで重症度が高い p=0.095、SOD1 rs1041740:major homoで重症度が高い p=0.059、という結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り192症例を対象にSNPs解析を行い、コントロールとの比較、臨床像との比較により、突発性難聴と関連する遺伝子多型候補の選定が出来た。今後の検討によりさらなる成果が期待できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により重症度との関連性について検討を行い、単遺伝子では明らかな関連性は認めなかったが、組み合わせによってその傾向が示され、酸化ストレス関連遺伝子は突発性難聴の発症に関与している可能性が示された。また、FRAS4という測定機器を用いて体内の酸化ストレス度測定を実施し、1)突発性難聴症例では治療前の測定にて酸化ストレス度は有意に高く、全身的な高酸化ストレス状態が、その発症に何らかの影響を及ぼしている可能性が推測されたこと2)治療前の酸化ストレス度と治療効果との間には関連性が認められる結果であり、治療効果を予測する因子となる可能性が考えられたこと3)治療後の酸化ストレス度については治療前と比較して低下する傾向を認めた。治療効果と治療後の酸化ストレス度の間には有意な関連性は認めなかったという予備的なデータが得られており、今後は酸化ストレス関連遺伝子多型の遺伝子型と治療効果について詳細に解析・検討を行う予定である。
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