2015 Fiscal Year Research-status Report
内耳感覚上皮発生におけるGSK3情報伝達系の役割と細胞配列パターン形成
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25861550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 高之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定病院助教 (60642931)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 聴覚 / 内耳 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
蝸牛感覚上皮の発生におけるGSK3情報伝達系の役割を解明するために、蝸牛器官培養系を用いて薬剤によるGSK3情報伝達系の抑制を行い、表現型と発現遺伝子の変化を検討した。 マウス胎仔胎生13日目の蝸牛を取り出し、GSK3阻害薬の存在下に4日間培養を行った。阻害薬として、CHIR99021およびBIO acetoximeを用いた。GSK3阻害群では、内有毛細胞の数が増加しており、また内有毛細胞と外有毛細胞の間の支持細胞の領域が拡大していた。 器官培養系の感覚上皮を用いてmRNAを抽出し、蝸牛感覚上皮の発生や分化に関わる遺伝子についてリアルタイムRT-PCRにより発現量の変化を検討したところ、蝸牛の外有毛細胞の領域の発生に関わるとされるBmp4の発現が有意に減少しており、これは外有毛細胞領域の発生が抑制されるという表現型と一致した。その反面、有毛細胞の発生に関わるAtoh1遺伝子の発現量は全体では変化していなかった。これらの結果により、GSK3情報伝達系の抑制により。有毛細胞の全体の数は変化せず、内有毛細胞と外有毛細胞の割合が変化しており、GSK3情報伝達系は蝸牛感覚上皮の運命決定に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GSK3遺伝子改変マウスの繁殖が遅れており、系統の確立に時間を要する状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤によるGSK3情報伝達系の抑制については更に研究を進める。分子生物学的、細胞学的な解析に注力し、裏付けを行いながら蝸牛発生におけるGSK3情報伝達系の役割について一つの結論を出す。
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Causes of Carryover |
国際学会への出席の費用を計上していたが、諸事情により参加出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、実験動物の維持や解析費用として使用予定である。分子生物学的、細胞学的な解析の試薬等を購入予定である。
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