2016 Fiscal Year Annual Research Report
Role of the GSK3 signaling in development and cellular patterning of the cochlear sensory epihtelium
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25861550
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 高之 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60642931)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蝸牛 / 発生 / 細胞配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
Glygogen synthase kinase 3 (GSK3)は、Hh, Notch, GPCRsなど生体内の様々な情報伝達で重要なはたらきを担うが、とりわけ古典的Wnt情報伝達系での役割が知られている。GSK3の蝸牛感覚上皮の発生における役割を探求するため、胎生13日目のマウス蝸牛を取り出して感覚上皮の器官培養を4日間行い、培養液中にGSK3阻害薬を投与することにより、GSK3伝達系が阻害された際の表現型を解析した。GSK3は内有毛細胞および内柱細胞の領域を拡大するとともに,対照的に外有毛細胞の領域を縮小した。細胞系列の追跡により、外有毛細胞領域の細胞が、内有毛細胞の運命決定を獲得することが判明した。またこれらの効果はBMP4の発現が低下することによりもたらされることが解明され、GSK3の下流の遺伝子としてBMP4が発生期の蝸牛感覚上皮の運命決定に重要な役割を果たすことが示唆された。さらに前述の器官培養系を用いて、BMP4を培養液中に追加したところ、内有毛細胞領域の拡大と外有毛細胞領域の縮小という表現型が救済され正常に近い形態となった。これらの結果は蝸牛の感覚上皮の発生における内側-外側の軸に沿った細胞配列パターンの決定に必須とされる分子メカニズムの解明に大きく貢献するものである。
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