2013 Fiscal Year Research-status Report
New strategies for cochlear afferent dendrite and synaptic regeneration.
Project/Area Number |
25861551
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅香 ナカリン 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40637625)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | らせん神経 / IGF-1 |
Research Abstract |
近年、聴覚システムの発達と維持において、IGF-1の持つ役割が注目されている。最近我々は蝸牛有毛細胞におけるIGF-1の保護効果と細胞内シグナル伝達を報告した。本研究の目的は、IGF-1のらせん神経節神経に対する治療効果を、内有毛細胞とのシナプス再生に焦点を当てて、検討することである。P2-3マウスの蝸牛を用い、蝸牛軸を含む蝸牛第二回転を切断し、切片として培養液の中で培養した。NMDAとカイニン酸を用いてらせん神経節細胞と内有毛細胞を結ぶ求心性神経線維の変性を誘導した。まず、NMDAとカイニン酸の毒性を評価し、らせん神経節細胞は保たれるが求心性神経線維が著明に変性する容量を決定した。次に、IGF-1のらせん神経節求心性神経線維に対する治療効果を評価した。NMDAとカイニン酸で障害を与えた後、培養液にIGF-1を複数の濃度で作用させた。さらに、内有毛細胞に接触する求心性神経線維の数を、シナプス前後の小胞の数として、神経フィラメントであるミオシンVIIa、CTBP2、PSD95を免疫染色することによって計数した。結果、IGF-1は容量依存性にシナプス前後の小胞に接触する求心性神経線維の数を増加させた。らせん神経節神経に対するIGF-1の治療効果は、IGF-1シグナル伝達経路の阻害剤であるMEK/ERKインヒビター、PI3K/Aktインヒビターによって失われた。本研究により、IGF-1が、らせん神経節求心性神経線維、およびらせん神経節細胞と内有毛細胞のシナプス接触を回復する効果を持つことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
らせん神経と有毛細胞間シナプスの免疫染色の条件設定にやや時間を要した他は、概ね予定通り実験を進めることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果に基づき、IGF1のらせん神経節シナプスに対する再生効果、ならびにIGF-1の細胞内シグナル伝達に関与するNetrin1とGAP43の神経軸索成長促進効果について、ウエスタンブロット、qPCR、免疫染色を行い検討する。これまでの結果を元にして論文を作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していた抗体の中で、同じ研究室の研究員から譲り受けたものがあり、購入しなくて済んだため。 研究室を移籍したため、実験系を立ち上げるために新しく抗体、実験動物や試薬を購入する予定である。
|