2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861556
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森鼻 哲生 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80634170)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 加齢 / 内耳障害 / ウイント / 前庭動眼反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う難聴と増悪する平衡障害は高齢者のQOLに多大な影響を及ぼす、解決すべき重要な問題である。ところでヒトの加齢変化にwnt(ウイント)の古典的経路が関与することはすでに報告されている。以上から内耳の老化にもwntが何等かの関与をしているのでは仮説を立てた。 加齢マウスの内耳におけるWnt関連gene(タンパク)の発現を確認し、加齢性難聴を起こすBL6/J 野生型マウス、B6背景のC1q欠損マウス(wnt経路が動かない)をもちいて種々の生理実験をおこない、内耳の加齢変化におけるwnt古典経路の関与を検証した。また同時に、我々独自に開発したマウスの前庭動眼反射(VOR)測定装置の安定運用を達成することも目標とした。 平成26年度までの研究では、mRNAレベルで、内耳でのwnt関連geneの発現を確認できていた。 平成27年度の成果としては、in-situ-hybridizationの手法を用いると、Axin2は内耳での発現がほとんど確認できず、Lgr5はAdult/NeonatalいずれでもSpiral prominence周囲への限局した発現にとどまった。免疫染色では、Axin2/Lgr5いずれも発現は確認できなかった。つまり、タンパクレベルでは、高齢マウスの内耳においてはwnt関連物質は活性化されていなかった。相当数のマウスをもちいた、老化C1q KO mouseの聴覚検査においては、同月齢のWT BL6/Jマウスと比べ有意差は認めず、前庭動眼反射検査においても、同月齢のWT BL6/Jマウスと比べ有意差はみられなかった。 以上から、加齢にともなう内耳障害には、wntの古典経路の関与は否定的である結果が得られた。ところでマウスの内耳機能評価において、ABRだけでなくVORの測定も同時に安定的に行えるようになったことは、蝸牛と前庭の両方の評価が可能となり、今後のマウスにおける内耳機能研究に大いに役に立つと考えられる。
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Research Products
(1 results)