2013 Fiscal Year Research-status Report
SOCS遺伝子改変アレルギーマウスモデルにおける中耳局所粘膜免疫応答の解明
Project/Area Number |
25861571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川野 利明 大分大学, 医学部, 助教 (30633424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SOCS / 遺伝子改変マウス / アレルギー性鼻炎 / 中耳炎 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎による鼻腔粘膜の腫脹は経耳管感染を基礎病態とする中耳炎の遷延化につながり、鼻アレルギーの治療が中耳炎遷延化防止に有効であるとの報告もある。これを実験的に検証することを目的とし、IgE抗体レベルが有意に上昇するアレルギー性疾患モデルマウスを用いて、マウス中耳炎モデルを作製する。IgE産生が促進した状態で、アレルギー性鼻炎・中耳炎の病態を形成させ、アレルギー関連性慢性感染中耳炎の増悪化について、その分子病態を明らかにすることを目的にする。 B細胞から作られるIgE抗体は、肥満細胞や好塩基球を刺激して炎症性メディエーターを放出することで気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのI型アレルギーに関与する。IgE産生は多くのサイトカインによって直接的にまたは間接的に制御されているが、とりわけTh2細胞が産生するIL-4は転写因子STAT6の活性化を通じてIgEへのクラススイッチを誘導する重要なサイトカインである。一方、サイトカインシグナル伝達経路いわゆるJAK/STAT経路を抑制する内在性分子としてSuppressor of cytokine signaling 1(SOCS1)が知られており、これをB細胞特異的に欠損するマウスには過剰なIL-4/STAT6シグナルによる血清IgEの有意な上昇とアレルギー感受性の亢進が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
B細胞特異的にSOCS1を欠損させたマウス(CD19Cre-SOCS1 flox)を用いて、アレルギー疾患モデルマウスの急性中耳炎症病態における詳細な解析を実施する。アレルギーマウスの作成後血清IgEをELISAにて測定したところSOCS1グループが5306ng/mlに対しコントロールであるBALB/cグループでは39ng/mlと有意にSOCS1が高い傾向にあった。アレルギーマウスの鼻腔にオボアルブミン(OVA)の抗原感作を行い、アレルギー性鼻炎モデルを作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
アレルギー感受性を規定するIgE抗体が遺伝的に高値を示す遺伝子改変アレルギーマウスを用いて、アレルギー鼻炎合併中耳炎モデルを作製し、中耳や鼻腔などの局所アレルギーが中耳粘膜における炎症病態にどのような影響を与えるか解析し報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度にてアレルギー性鼻炎関連中耳炎マウスの作成を行ったが、さらに詳細な局所免疫動態の検索のために必要なELISAキットの購入ができていないために残金が生じた。 アレルギー性鼻炎関連中耳炎マウスの作成後、中耳粘膜、鼻腔粘膜、血清を採取しそれぞれ検体のサイトカイン、ケモカインの測定を行うためのELISAキット購入の資金に当てる予定である。また全身的な免疫動態の測定のために必要な抗体購入も行う予定である。
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