2014 Fiscal Year Annual Research Report
テロメラーゼ特異的アデノウイルス製剤による新しい頭頸部癌治療の開発
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25861577
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
榊原 敦子 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (10636533)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / テロメラーゼ / ウイルス治療 / 放射線感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
13種類の頭頸部扁平上皮癌の放射線感受性を検討し,その中から放射線耐性の頭頸部扁平上皮癌細胞株を選抜した.放射線耐性細胞株に対するテロメライシン感染と放射線治療の併用治療はin vitroでそれぞれの単独治療と比較して有意に高い抗腫瘍効果を発揮し,同所性頭頸部扁平上皮癌マウスモデルにおいても有意に腫瘍の発育を抑制し,相乗効果が認められた.放射線治療を行うと頭頸部扁平上皮癌細胞におけるMRN複合体の発現量は増加したが,テロメライシンの感染は用量依存性にMRN複合体の発現を抑制した.放射線とテロメライシンを同時に投与した場合にも同様にMRN複合体の発現量が減少した.テロメライシン感染と放射線治療を併用することで,in vitroではアネキシンV陽性細胞の増加および開裂したPARPの発現量増加を認め,in vivoではTUNEL陽性細胞の増加が認められ,OBP-301と放射線の併用療法は,単独の治療よりも多くの細胞をアポトーシスへと誘導することが示された. 本研究はOBP-301が放射線耐性の頭頸部扁平上皮癌細胞の放射線感受性を増強することを示した初の報告であった.放射線耐性の機序には癌抑制遺伝子TP53の変異や低酸素状態,ヒトテロメラーゼ逆転写酵素の活性上昇などの因子が挙げられる.テロメライシンによる放射線増感作用はTP53遺伝子が変異した細胞株で示されており,低酸素状態ではテロメライシンの増殖に有利となるヒトテロメラーゼ逆転写酵素の活性上昇が認められることから,テロメライシンによる治療は放射線耐性の細胞株に特に有効な治療法と考えられた.また,テロメライシンは抗癌剤との相乗効果も示されており,かつ第I相臨床試験で安全性が確認されているため,テロメライシンや放射線治療を含む集学的治療は放射線耐性の頭頸部扁平上皮癌患者に対する新たな治療戦略となりうることが示唆された.
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Research Products
(2 results)