2014 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌癌幹細胞における血管内皮細胞増殖因子の微小環境としての働きに関する研究
Project/Area Number |
25861587
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽生 昇 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (60365369)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮細胞増殖因子の頭頸部扁平上皮癌癌幹細胞における微小環境・ニッチとしての役割の一端を明らかにすることである。 本年度は、臨床検体として、舌癌ステージ1・2における原発巣の血管内皮細胞増殖因子VEGFおよび血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR、頭頸部扁平上皮癌癌幹細胞の発現としてOct3/4,Nanog免疫組織化学染色を行った。舌癌の臨床検体においては、後発頸部リンパ節転移と癌幹細胞マーカーであるOct3/4,Nanogと正の相関関係が見られた。臨床病理学的因子としては後発頸部リンパ節転移と血管浸潤との正の相関関係が見られた。血管浸潤部位周囲に血管内皮細胞増殖因子VEGFの発現が認められる傾向があった。癌幹細胞マーカーOct3/4,Nanogの近傍に血管浸潤が認められ、血管内皮細胞増殖因子VEGFも近傍にある傾向があることから、微小環境・ニッチが近傍に位置するのではないかと考えられ、さらに解析を行っている。 頭頸部扁平上皮癌細胞株に、Hoechst33342を投与し、染色されたSP細胞を1%程度確認した。これらは癌幹細胞様細胞と考えられた。SP細胞とnon-SP細胞をOct3/4,Nanog,ABCG2をRT-PCRで比較すると,SP細胞に癌幹細胞様細胞マーカーOct3/4,NanogおよびABCG2の発現が高いことが確認された。また、頭頸部扁平上皮癌細胞株に血管内皮細胞増殖因子VEGFを刺激すると細胞増殖能、細胞遊走能の亢進が認められることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
舌癌臨床検体において、血管内皮細胞増殖因子VEGFや癌幹細胞マーカーであるOct3/4,Nanogの免疫組織化学染色は順調に進行している。頭頸部癌細胞株において、血管内皮細胞増殖因子VEGF刺激による遊走能の亢進、増殖能の亢進などは確認しているが、頭頸部癌細胞株から抽出した癌幹細胞様細胞(SP細胞)へのVEGF刺激実験の進行がやや遅れている。そのため動物による実験は進めていない。年度初めのころにSP細胞の抽出に、安定性がなかったためと思われた。
|
Strategy for Future Research Activity |
舌癌臨床検体における血管内皮細胞増殖因子VEGFや癌幹細胞マーカーのOct3/4,Nanogの免疫組織化学染色の進行は進んでおり、統計学的解析を行い予後・転移・臨床データとの相関関係の解明を進める。頭頸部癌細胞株から頭頸部癌癌幹細胞様細胞(SP細胞)を抽出して、血管内皮細胞増殖因子を投与して増殖能、細胞生存能力、自己複製能などを検討する予定である。SP細胞の抽出が安定してきているため継続して行う予定である
|
Causes of Carryover |
免疫組織化学染色に使用する際の抗体などを、効率的に使用したため残額が生じたと考えられた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床検体の症例数を増やし、免疫組織化学染色するさいに、抗体を有効的に用いて行う予定である
|