2013 Fiscal Year Research-status Report
メニエール病における内リンパ嚢細胞内ストレス応答を焦点とした分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
25861598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 毅 日本大学, 医学部, 助教 (60625218)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オートファジー / 内耳培養細胞 / 小胞体ストレス応答 / IP3R / LC3-II |
Research Abstract |
小胞体ストレス誘導剤(ツニカマイシン、タプシガルジン)処理細胞をトリパンブルーにて核染色を行い、Countessを用いて死細胞数を計測し、細胞生存率測定を行った。内耳培養細胞HEI-OC1に小胞体ストレス誘導剤ツニカマイシンで処理し、細胞生存率測定を行い、小胞体ストレス誘導性細胞死モデルとして、濃度100ng/μl、処理時間0-48時間の条件が適切であることを確認した。 Western blot法にて小胞体ストレス応答因子の一つであり、アポトーシス誘導にも関与するCHOPはツニカマイシン処理後12時間をピークに減少することを確認した。逆にオートファジーモニタリングマーカーであるLC3-IIの発現は、処理後12時間から誘導されてきたことを確認した。細胞内においてセカンドメッセンジャーとして機能し細胞分裂や細胞死など様々な細胞応答制御を行うカルシウムを、小胞体において制御するIP3Rの発現をWestern blot法にて検討した。IP3Rの発現はツニカマイシン処理後12時間をピークに減少することを確認した。この結果は、内耳感覚細胞における小胞体ストレス応答、オートファジーの誘導とIP3Rの発現の間にはクロストークが存在していることを示唆している。また、アポトーシス抑制因子であるBcl-2とオートファジー制御因子Beclin1の発現は、時間依存性に低下したことを確認した。この結果は、Bcl-2とBeclin1の間には、相互作用がある可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験は、平成24年度までに予備実験として行った「内耳感覚細胞の小胞体ストレス下での細胞死には、オートファジー誘導が重要な役割を果たしている」という実験結果に基づき、小胞体ストレス下での内耳感覚細胞死にはIP3Rを介したCa2+の恒常性錯乱とオートファジーとアポトーシスの誘導が深く関与しているという仮説の上に成り立っている。実際には、Western blotにてのIP3Rのdetectに時間を要した。これは、最終的にはSanta Cruz社のものが一番detectしやすいことを確認するまでに時間がかかったことが原因である。さらに、その後の小胞体ストレス下の細胞内カルシウムの動向の再現性の確認にも時間が必要であることが原因である。 一方で、内耳感覚細胞における小胞体ストレス応答、オートファジーの誘導とIP3Rの発現の間にはクロストークが存在している可能性を証明できたこと、また小胞体ストレス下の内耳感覚細胞においてBcl-2とBeclin1の発現には相関関係があることを証明できたことは、次年度につながる大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体ストレス下での内耳感覚細胞におけるIP3Rの発現低下が、実際にカルシウム恒常性錯乱を実際に起こすか否かを確認するために、ツニカマイシンで処理したHEI-OC1細胞のカルシウムイメージングとNa-K ATPaseの蛍光イメージングを行う。その後、IP3Rの直接的機能を見るために、IP3R siRNAをHEI-OC1に遺伝子導入し、細胞生存率を確認後にカルシウムイメージングとNa-K ATPaseの蛍光イメージングを行う。IP3R KD細胞でのCHOPの発現、LC3-IIの発現とBcl-2, Beclin1とcaspase3の発現を検討する。ニコンの超解像顕微鏡を用いて、IP3R KD細胞をmito trackerで染色し、ミトコンドリアのイメージングを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小胞体ストレス下での内耳感覚細胞におけるIP3Rの発現低下が、実際にカルシウム恒常性錯乱を実際に起こすか否かを確認するために、ツニカマイシンで処理したHEI-OC1細胞のカルシウムイメージングとNa-K ATPaseの蛍光イメージングを行う予定である。研究を継続して行い、研究成果を発表するために次年度の研究費が必要である。 抗体費(IP3R:46000 円×2本、Caspase3:40000 円×2本、Bcl-2:54000 円×2本)、薬剤費(ツニカマイシン:58000 円×2本、タプシガルジン:62000円×2本)、試薬費(IP3R siRNA:65000 円×2、Cell viability Assay kit:70000 円×2、カルシウムイメージング用キット:78000 円×2、Western blot 試薬:80000 円×3、Na-K ATPase 活性測定 Kit:110000 円を必要とする。さらに、本研究の成果を国内外に示すために、国内、国外への渡航費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)