2013 Fiscal Year Research-status Report
蛍光遺伝子を用いた頭頸部癌性疼痛緩和へのオキシトシン系関与の新規解明
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25861602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Medical Center (Clinical Institute) |
Principal Investigator |
加藤 明子 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), 耳鼻咽喉科, 医師 (90412650)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子改変動物 / 蛍光タンパク / オキシトシン / 癌性疼痛 |
Research Abstract |
本研究課題では、下垂体後葉ホルモンの一つであるオキシトシンの疼痛・ストレス緩和作用に着目して、頭頸部疼痛緩和におけるオキシトシンの関与について検討している。平成25年度は、オキシトシン遺伝子に赤色蛍光タンパク(mRFP1)遺伝子を挿入した融合遺伝子を用いて作出したオキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いて、口内炎モデルを作成し、mRFP1蛍光の発現変化を観察した。口内炎モデル群は、ラットの口腔内粘膜に酢酸含有濾紙を60秒間接触させることで作成した。コントロール群は生理食塩水含有濾紙を用いた。5日後に深麻酔下で灌流固定し、脳および下垂体を取り出し、後固定後に薄切切片を作成して蛍光顕微鏡下で室傍核および視索上核におけるmRFP1蛍光強度を定量評価した。その結果、口内炎モデル群では、室傍核のmRFP1蛍光強度がコントロール群と比較して有意に増加していた。以上より、口内炎モデルラットにおいて室傍核に局在するオキシトシンニューロンが口腔内炎症における疼痛発現において何らかの関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画1年次においては、オキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いて口内炎モデルを作成し、視床下部に局在するオキシトシンニューロンでのmRFP1蛍光の発現変化を観察した。今回の実験にて、室傍核でのオキシトシンニューロンと口内炎(炎症性疼痛)との何らかの関与が示唆された。本研究の成果は、平成26年度第36回日本疼痛学会(大阪)にて発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画2年次においては、上述の実験結果をもとに口内炎とオキシトシン、mRFP1蛍光およびmRNAの変化のタイムコースをとること、口腔内の疼痛伝達経路(三叉神経系)について検討すること、および担癌モデルを作成して癌性疼痛におけるオキシトシン、mRFP1蛍光およびmRNAの変化を検討する。さらに、オキシトシンが口腔内疼痛緩和の役割をもとかどうかの検討のためにオキシトシン受容体アンタゴニストの投与を行う。 次年度の研究費については、交配のための実験動物(ラット)の購入とトランスジェニックラットの飼育に必要な経費を使用する。主に使用する試薬等は、抗体を含む免疫組織化学的染色用試薬、in situハイブリダイゼーション試薬等、であり、これらの購入に研究費を使用予定である。また、in situハイブリダイゼーション法に使用するラジオアイソトープ(35S)に必要な経費を研究費から使用する。本研究の成果は、本疼痛学会などの疼痛関連の国内学会にて積極的に発表し、国際専門雑誌に英文論文として発表する予定である。これらに必要な経費を使用する。
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Research Products
(4 results)