2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規頭頸部がん幹細胞マーカーCD271の解析と治療戦略への応用
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25861603
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
今井 隆之 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 特任研究員 (80408583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 頭頸部癌 / CD271 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、頭頸部がんの悪性化と密接に関係する「頭頸部がん幹細胞」の細胞生物学的特徴と臨床応用に取り組む。具体的には、①頭頸部癌のがん幹細胞マーカー候補として申請者が見出したCD271は、頭頸部がん細胞の新たながん幹細胞マーカーとなりうるか?を検討する。さらに、②超免疫不全マウス(NOG)を用いた異種移植系を使って、幹細胞としての性質を示すか?調べる。さらに、③CD271発現と予後は相関するか?④CD271を標的とした特異的治療法の開発は可能か?を検討する。これらのアプローチにより、CD271による革新的ながん研究を展開し、新規治療法と予後予測のための基盤となるデータの収集を目的とする。 本年度は患者由来頭頸部癌組織から新たな細胞株HPCM7の樹立に成功した。既存のHPCM2株と併せて、CD271の発現と腫瘍形成に明らかな相関を認めた。これらのヒト下咽頭癌由来HPCM株をin vitroにて培養し、通常培養とスフェア培養を比較検討した。その結果、10%血清添加した通常培養に比較しスフェア専用培地にて形成されたスフェアではCD271の発現がFACS解析において増加していた。これらの細胞株を超免疫不全マウスNOGに移植しCDDPにて治療実験した。コントロール群に比較してCDDP投与群ではCD271陽性細胞がより選択的に生存していたことから、CD271陽性細胞は化学療法抵抗性を獲得していることが明らかとなった。下咽頭癌病理検体を用いてCD271を免疫染色(IHC)したところ、無再発期間とCD271発現に有意な逆相関を認めた。腫瘍組織のmRNAのqPCRを行い、mRNAと患者予後を調べた。その結果、CD271を高発現する症例は明らかに予後不良であることが確認された。したがってCD271は下咽頭癌幹細胞の新たなマーカー分子であり、有望な新規治療標的であることが明らかとなった。
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