2013 Fiscal Year Research-status Report
緑内障術後成績向上のための薬剤検索ならびに濾過胞不全に関する因子の同定
Project/Area Number |
25861613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 亮 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70625293)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 緑内障 / 線維柱帯切除術 / 線維芽細胞増殖抑制 / 前房水 / テノン嚢 / 薬剤スクリーニング |
Research Abstract |
1、テノン嚢線維芽細胞増殖を特異的に抑制する薬剤の探索 主な緑内障手術方法として線維柱帯切除術があるが、その際に臨床で使用している薬剤(マイトマイシンC)は角膜上皮に毒性がある。そこで、副作用の少ない新規薬剤の発見のため、テノン嚢線維芽細胞に対して増殖抑制活性を示し、視力維持に重要な角膜上皮細胞に対して細胞毒性を示さない化合物のスクリーニングを行った。既存薬ライブラリーを用いたスクリーニングでは、テノン嚢線維芽細胞と角膜上皮細胞でのスクリーニングも終わり、ウサギの緑内障手術モデルで薬効を検証中である。現在本研究で得られた候補薬剤0.01%濃度を点眼しており、ある一定の効果が得られることが判明している。また、Validated Compound Libraryを用いたスクリーニングでは、テノン嚢線維芽細胞でのスクリーニングが終了し、ヒット化合物を10剤見出した。 2、線維柱帯切除術時の前房水中の生理活性物質の検討 緑内障術後に濾過胞の半数以上が機能不全に陥り、適切な眼圧の維持が困難となる。この濾過胞の機能不全には、前房水中の生理活性物質が関与することが推測されている。そこで、濾過胞機能不全に関与する生理活性物質を明らかにするために、緑内障手術開始時に前房水を採取し、Bio-Plexを用いて前房水中の27種類のサイトカイン濃度を測定し、開放隅角緑内障眼または血管新生緑内障眼の中で、術後に追加治療を必要としなかった症例について、前房水中のサイトカイン濃度と術後6ヵ月の濾過胞機能(眼圧)、術後2週の濾過胞構造との相関を検討した。前房水中のサイトカインの中で、MIP-1βのみ術後の眼圧と濾過胞構造のいずれに対しても有意な相関を認めた。濾過胞の機能維持に前房水中のサイトカインであるMIP-1βが関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の一つである、テノン嚢線維芽細胞を特異的に抑制する薬剤の探索については、テノン嚢線維芽細胞に対して増殖抑制活性を示し、視力維持に重要な角膜上皮細胞に対して細胞毒性を示さない化合物をスクリーニングし、候補薬剤を見いだすことができたうえ、一部の薬剤については動物実験で検証中である。もう一つの課題である、線維柱帯切除術時の前房水中の生理活性物質の検討については、緑内障手術開始時に前房水を採取し、Bio-Plexを用いて前房水中のサイトカイン濃度を測定し、濾過胞の機能維持に前房水中のMIP-1βが関与することを突き止めた。このように本研究の2つの課題でどちらにおいても、当初の計画通りに順調に実験結果が得られていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
テノン嚢線維芽細胞を特異的に抑制する薬剤の探索については、既存薬ライブラリーより見いだした候補薬剤について、ウサギの緑内障手術モデルで薬効の詳細な解析を進める。Validated Compound Libraryのスクリーニングにより得られたヒット化合物10剤についても、in vitroの解析でさらに絞り込み、絞り込まれた候補薬剤を、ウサギの緑内障手術モデルで検証を行う。 線維柱帯切除術時の前房水中の生理活性物質の検討については、症例数を増加させ、MIP-1βと濾過胞機能維持の関係について再現性を確認する。また、濾過胞の機能維持に関与するMIP-1β以外の前房水中の生理活性物質を明らかにするために、術後早期に機能不全に陥った症例についても調査を行うとともに、またより長期の術後経過と前房水サイトカイン濃度の関係について調査を行う予定である。
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Research Products
(7 results)