2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861615
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 芳史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00537219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結膜瘢痕の経時変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラットを用いてトレハロースの癒着防止効果について検討を行った。家兎に線維柱帯切除術を施行し、術中5分毎に術野にトレハロース溶液を噴霧した(トレハロース群)。対照群には、トレハロースの代わりに術中5分毎に生理食塩水を噴霧し手術を施行した。術後7日、1、2ヶ月に細隙灯顕微鏡検査、前眼部光干渉断層計、および前眼部偏光光干渉断層計によって評価した。トレハロース群および対照群では、細隙灯顕微鏡検査で全ての家兎眼において有意な炎症や感染兆候はみられなかった。前眼部光干渉断層計では、術後両群間に明らかな輝度の差はみられなかったが、前眼部偏光光干渉断層計で対照群は術後2ヶ月で輝度(偏光位相差)の変化を認めたが、トレハロース群では経過観察中に明らかな偏光位相差の上昇を認めなかった。偏光位相差は組織内部のコラーゲン線維の密度や配向性の変化をとらえるため、トレハロース使用によって前眼部偏光光干渉断層計の位相差の変化がみられないことは、術後の内部組織の瘢痕化が抑制できる可能性があることが示唆された。これまでのトレハロースを用いた緑内障手術の研究は、術野の瘢痕化を組織学的に評価したものがほとんどで、前眼部光干渉断層計や前眼部偏光光干渉断層計を用いて生体眼を経時的に観察した報告はない。現行の緑内障手術は線維芽細胞増殖抑制剤であるマイトマイシンC(MMC)を術中塗布することで瘢痕癒着を防止し長期的な眼圧下降を目指すものであり、トレハロース併用緑内障手術の瘢痕癒着の経時的変化を観察した本研究は、トレハロース併用緑内障手術が2ヶ月時点で瘢痕癒着が軽度であり、MMCの代用薬剤となる可能性が示唆された。
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