2013 Fiscal Year Research-status Report
新しいQuality of Visual Life評価法の開発
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25861616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平澤 裕代 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60645000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Quality of Visual Life / Random Forest / Rasch model |
Research Abstract |
本研究は緑内障患者において、客観的指標に基づくQuality of Visual Life(QoVL)の推測モデルの構築と自覚に基づく主観的なQoVLのより現実に即した評価とを目指し、両アプローチからの統合的評価を可能にするシステムの構築を目指すものである。研究の第一段階として鷲見の質問票(Ophthalmology 2003)を用いた。 QoVLの推測モデルの構築にあたり、客観的指標に基づくQoVL予測モデルから算出される予測QoVLスコアと実際のQoVLスコアとの誤差が最少となるような最適な予測モデルを評価した。3種の機械学習法(Random Forest(RF),Gradient boosting machine(Boosting),support vector machine)に加えて視力・視野データ(全測定点平均)を用いた複数の線形回帰及び重回帰分析モデル, 視力・視野各測定点データを採用した全てのパターンの重回帰分析モデルの中から赤池情報量基準により選出した最適なモデルを比較対象とし予測誤差を比較した。RFおよびBoostingは特に良好な予測精度を示し(Hirasawa et al. BJO Epub 2014)、本研究では臨床的に互いに関連する複数の因子を同時に加味しやすいRFをQoVL予測モデルの構築に採用することとした。 自覚に基づく主観的なQoVLのより現実に即した評価に関し、新しいテスト理論であるRasch法を用い鷲見の質問票の再評価を行った。その結果、質問票自体の十分な信頼性の確認と共に、従来の算術平均から求まるQoVLスコアよりもRasch法により算出されるQoVLスコアの方が客観的指標(視力・視野)との相関が良好であることが示され、研究遂行にはRasch法の採用が望ましいことを示した (Hirasawa et al. WOC 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は目標200人の緑内障患者を対象に視機能データの蓄積およびQoVLの調査を行う予定であったが、現在のところデータの収集は約60人の蓄積にとどまる。これは、新規の調査対象にQoVL調査を行う前に本研究の主要な2アプローチ、すなわち客観的指標に基づくQoVLの推測と自覚に基づく主観的なQoVLのより現実に即した評価に関する最適な方法論をそれぞれ検証する必要があったためである。 前者に関してはすでに今回選択したRF法が、従来主流であった回帰分析の様々なモデルに比較し予測精度が良好であることを検証する必要があった。また、後者に関しては近年登場した新しいテスト理論である項目反応理論の一形態であるRasch法を用いたQOLアンケート票の再評価が眼科分野に限らず行われていることを鑑み、本研究で用いた鷲見の質問票を再評価する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、複数の調査票(NEI VFQ-25、鷲見の調査票、VF-14等)を統合したものに、不足していると考えられた日常生活領域の質問項目を独自に付加した新しい質問票(原案)を作成し、新規に緑内障患者のQoVL調査を行っている。日常生活のQoVLを多方面から評価するため非常に多数の質問数(114問)を含み、回答所要時間が15分-30分程度かかるため臨床的には患者に対し過重な負担となることが推測される。今後、調査人数が蓄積された段階で新しい質問票(原案)をRasch法により検証したのち、項目反応理論(Qual. Life Res.1991)を利用したComputerized Adaptative Testing(CAT)システムを構築、従来のように対象者全員が揃って同数の質問に答えなくても、item Bankに蓄積された多くの質問群からコンピュータープログラムが回答者に合わせて選出した必要最小限の項目数による効果的な測定の基礎を確立する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度はデータ収集前段階の方法論の評価に想定より時価を要したため、予定よりも学会発表の回数を減じることとなり、次年度への繰り越し予算が生じた。今年度はデータ収集をより強化するために計測者による計測時間をより増加させることを予定しており、そのための人件費、および今後成果発表の場として学会および論文発表に要する費用が必要と考えらえる。 次年度使用額の主たる部分は計測者によるデータ収集力の強化を図り、計測者への人件費に充てる。また、今後より一層の成果発表の場が必要になると想定されるので、そのための学会発表および論文発表に必要な経費として充てる予定である。
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Research Products
(4 results)