2014 Fiscal Year Annual Research Report
アクネ菌を用いたサルコイドーシスぶどう膜炎モデルの樹立と解析
Project/Area Number |
25861620
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宮永 将 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (30599600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サルコイドーシス / ぶどう膜炎 / アクネ菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコイドーシスは非乾酪壊死性肉芽腫が、眼や肺などの全身の様々な臓器に生じる疾患である。サルコイドーシス患者の肉芽腫内からは皮膚常在菌であるアクネ菌が高率に検出され、サルコイドーシスの原因として強く示唆されている。本研究は、アクネ菌感染マウスをの作製、それを用いた眼サルコイドーシスの実験モデルの作製、その病態を解析する事を目的として施行した。アクネ菌感染マウスの作成には、6から8週齢のBalb/cマウス、C57Bl6マウスを用いた。感染成立を目的としてサルコイドーシス患者組織から分離されるアクネ菌の7割を占め、細胞内に侵入できるアクネ菌生菌serotype Iをマウスの尾静脈から静脈注射した。また、免疫グロブリン標識したアクネ菌、細胞壁欠失型アクネ菌も同様に用いた。注射後さまざまな時期に屠殺した後に眼球、脾臓、肺、肝臓などを摘出し、アクネ菌特異的抗体(抗リポテイコ酸抗体)を用いた免疫組織化学染色を行った。その結果、脾臓、肺、肝臓にはリポテイコ酸が陽性となり、アクネ菌の存在が確認されたが、眼内においてアクネ菌の感染が確認された例はごく少数であった。 これらのアクネ菌感染マウスに アクネ菌特異的な細胞性免疫応答を惹起するために、アクネ菌死菌希釈液と結核死菌を含む完全フロインドアジュバントを 1:1 に混合し、超音波破砕装置を用いて乳濁液を作成し、アクネ菌感染マウスの背部に皮下注射した。これを2週間間隔で、計3回施行した。その結果、アクネ菌感染マウスの脾臓、肺、肝臓において肉芽腫病変の形成が確認された。一方、明らかな網脈絡膜炎症は惹起されなかった。眼内にアクネ菌を中心とする肉芽腫病変が形成されない原因として、アクネ菌が免疫応答によって拒絶、排除されている可能性を考え、現在アクネ菌に対する経口免疫寛容を誘導し、それを用いたアクネ菌感染実験を行っている。
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