2014 Fiscal Year Research-status Report
角膜内皮細胞のポンプ機能および生理学的特性の可視化
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25861630
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤本 久貴 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50624227)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルシウムイメージング / 角膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はカルシウム感受性色素の染色性向上に努めて成果を得た。角膜は外界との強いバリアを有し、薬剤を浸透させることは難しい。上皮を剥離してカルシウム感受性色素などの薬剤負荷を現在までは行ってきたが、この方法では侵襲性が高い。今回ナノ粒子化したカルシウム感受性色素を作成することで、単純な点眼による角膜上皮および実質細胞の染色に成功した。またこの方法では溶媒に界面活性剤などの使用がほぼ不要であり、添加物による組織障害の可能性を最小化できることも見出した。また、ナノ粒子化染色による角膜像を2光子顕微鏡により観察し、実質および上皮細胞のカルシウム感受性色素染色像を観察した。 また人眼を用いた角膜内皮の観察を行い、フックス角膜ジストロフィに代表される内被減少をきたす疾患では、その重症程度が場所によって異なることを見出した。周辺部分の中では統計的な有意性を持って耳下側が変性しやすいことも見出した。さらに局所的な滴状角膜面積が局所的な角膜厚に影響することを示した。角膜内皮細胞の生理的活性低下が病的状態を引き起こし、その局所的な動態変化が病的変化を引き起こすことを示す新しい知見である。 これらの結果および研究過程で得られた方法論は、生理的機能測定と病的変化をつなぐ懸け橋となると考えられる。ポンプ機能という強いエネルギー消費を伴う生理作用が重要な角膜内皮などの組織の理解には、我々のアプローチが有効であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした非侵襲的なカルシウム感受性色素負荷方法を確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
内皮細胞に代表される、角膜組織の生理的イメージングを行っていく。
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Causes of Carryover |
既存試薬、特に抗体類の使用が可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目標達成を前倒しにして、生理学実験消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(6 results)