2013 Fiscal Year Research-status Report
実験的網脈絡膜新生血管に対する生体防御因子の抑制効果
Project/Area Number |
25861633
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
高井 保幸 島根大学, 医学部, 助教 (20397871)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | HpODE / 脈絡膜新生血管 |
Research Abstract |
実験計画書に基づき、Sprague-Dawley (SD) rat(6~8週齢)を用い、ketamin,xylazineにて全身麻酔のあと、眼科用手術顕微鏡下にラット用前置レンズを用い眼底を観察しながら、30G 針でHpODE30μg (2μl) を強膜側からのアプローチで注意深く網膜下に注入した。注射後21日目に走査型レーザー検眼鏡にて、蛍光眼底造影(フルオレセインとインドシアニングリーン)を行いCNVを確認した。コントロール群として、ホウ酸緩衝液を2μl網膜下注射して同様に観察した。HpODE注射群30眼中21眼(70%)、コントロール群30眼中5眼(16.7%)にCNVを確認した。 次に、CNV発生部位およびコントロール群の網膜下注射部の組織学的検索を行ったところ、HE染色ではHpODE注射群・コントロール群ともにCNVが発生した部分は神経線維層より外側の網膜層構造は乱れ、神経線維層に向かって盛り上がるような変化を認めた。CNVが発生しなかったものについては層構造の多少の乱れは認めるものの、神経線維層に向かい盛り上がるような変化は認めなかった。次に、oil red O染色では、コントロール群においては網膜下・網膜内に脂肪は染色されなかったが、HpODE注射群では、脈絡膜新生血管周囲では網膜下だけでなく、網膜内まで脂肪を含んだ細胞を多数認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HpODE網膜下注射による脈絡膜新生血管発生率が70%とあまり高くなく、コントロール群との差を明らかにするため、実験頭数を20眼ずつから30眼ずつに増やしたため。 また、網膜下注射に適した注射器はオーダーメードで米国で生産されており、また注射針が細いため、注射する脂肪が詰まったり等のトラブルのため予想以上の本数が必要で、その度、実験が中断せざるを得ないことが生じたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、実験的脈絡膜血管新生モデルでのTRXの血管新生抑制効果についての検討を計画書どり行い、それぞれの群に関して網膜下注射後21日目に走査型レーザー検眼鏡にて、蛍光眼底造影(フルオレセインとインドシアニングリーン)を行いCNVを確認し、それぞれのCNV発生率の差を比較する。また、網膜組織を採取し、酸化度を測定し、それぞれの群で比較する。酸化度の測定には、フリーラジカル分析装置FREE (Wismerll社)を使用する予定であったが、血液以外の組織の測定は不可能のためOxyBlot Protein Oxidation Detection Kit(Millipore社)を使用して測定するよう変更する。 残りの網膜組織については、多数の炎症性サイトカインIL1-β, IL-6, IL-8, TGF-β1, tumor necrosis factor(TNF)-α, vascular endothelial growth factor (VEGF)-A, monocyte chemotactic protein(MCP)-1, serum amyloid A (SAA), migration inhibitory factor (MIF) の濃度の同時測定をMultiplex beads assayで行い、それぞれの濃度、すなわち炎症と脈絡膜新生血管の大きさ・組織切片の特徴に関連があるかどうかを検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度より、学会発表を行う予定であったが、諸々の理由のため実験に遅れが生じたため、学会発表できず、旅費未使用で残ったが、実験頭数の増加によりHpODE購入量が増加し、その購入費に充てたため、その差額が次年度使用額として生じた。 次年度の学会発表の費用に充てる予定である。
|