2013 Fiscal Year Research-status Report
増殖糖尿病網膜症の血管新生における転写因子PPARγの役割
Project/Area Number |
25861634
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
香留 崇 徳島大学, 大学病院, 助教 (50464342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管新生 / PPARγ / VEGF |
Research Abstract |
糖尿病網膜症は成人の失明原因の大多数を占めており、現在の治療法は進行例には必ずしも十分とはいえないのが現状である。近年、増殖糖尿病網膜症の病因に種々のサイトカインやサイトカインの発現を制御している転写因子が関与していることをうかがわせる報告が多数なされている。そのなかでも血管内皮増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)はもっとも注目されているサイトカインであり、VEGFの抗体などは一部、臨床応用がなされている。 今回、リガンド応答性の核内受容体型の転写因子であるPPARγ(peroxisome proliferator-activated receptor gamma)は糖尿病の基礎的病態に重要な役割を担っているのみならず、腫瘍の増殖などに伴う異常な血管新生に関わっていることが明らかになってきた。また、眼内にPPARγの抑制剤であるチアゾリジンを投与すると脈絡膜新生血管が抑制されることが報告されている。このことから、増殖糖尿病網膜症の増殖膜など血管新生が促進されている組織ではPPARγの増加が予想される。また、PPARγの発現を抑制することにより増殖糖尿病網膜症における血管新生を抑制できる可能性がある。 今回、増殖糖尿病網膜症や特発性黄斑上膜などの血管新生を伴わない疾患の増殖膜を採取し、PPARγの発現をmRNAレベル、蛋白レベルで検索し、増殖糖尿病網膜症の増殖膜においてPPARγ発現の亢進がないかを確認する。また硝子体手術にて採取可能な硝子体液や前房水を採取し、ELISA法を用いてPPARγの蛋白量を測定する。最近眼科領域にて抗VEGF抗体による治療が盛んに行われており、この抗VEGF抗体加療後の眼内のPPARγの活性の変化についても解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に眼内の検体より糖尿病網膜症でのPPAR濃度を測定し、一定の傾向を示す結果が得られており、VEGFとの相関関係についても結果が得られている。またその検体の結果は眼内の増殖膜からも同様の結果が得られており、成果を論文にしている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者サンプルからの解析はすでに終了し、今後は動物や細胞レベルでの追加実験に加え、論文にして報告する予定である。
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