2013 Fiscal Year Research-status Report
TGF-βおよび炎症性サイトカインシグナルを分子基盤とした房水流出機構の解析
Project/Area Number |
25861640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 みゆき 熊本大学, 生命科学研究部, 特任助教 (20631766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 線維柱帯細胞 / TGF-β2 / 緑内障 |
Research Abstract |
房水流出に関与するRho-ROCKシグナル、緑内障患者房水中に存在するTGF-β2や炎症性サイトカインの相互作用を明らかにするため、平成25年度はヒト線維柱帯細胞を購入後、培養し、始めにTGF-β2添加後のRho-ROCKシグナルの活性化について検討した。TGF-β2添加後、タンパクを回収しRhoAの活性化についてpull-downアッセイ法にて調べた。その結果、TGF-β2 2.5ng/ml添加後、RhoAの活性化が生じていた。さらにWestern blot法にてRho-ROCKシグナルの下流のMLC2のリン酸化を調べた結果、MLC2リン酸化レベルが有意に上昇し、その発現はROCK阻害剤によって阻害された。F-actinに結合するphalloidinを用い、細胞内局在についても調べたところ、TGF-β2添加によってアクチン重合が観察され、ROCK阻害剤によってその効果は阻害された。よってヒト線維柱帯細胞において、TGF-β2シグナルによってRho-ROCKシグナルが活性化していることが示唆された。さらに、細胞外マトリックスのタンパク発現、mRNA発現、転写活性化について調べた。細胞外マトリックスの一つであるI型コラーゲンについて検討した結果、TGF-β2添加後にタンパク発現が有意に上昇していた。またreal-time RT-PCR法によってmRNAの発現も調べたところ、同様の結果が観察された。さらにプロモーターアッセイによって転写活性についても調べた結果、TGF-β2添加後、転写活性が有意に上昇していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト線維柱帯細胞を用いての実験系が確立され、TGF-β2シグナル下におけるRho-ROCKシグナルの活性化および細胞外マトリックスの一つであるI型コラーゲンのタンパク発現、mRNA、転写活性について結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で達成できなかった実験をまず行う。また結果が明らかになった現象を元に平成26年度計画に基づいて、線維柱帯細胞内におけるシグナル伝達について調べる。まずTGF-β2シグナルの下流の転写因子Smad2/3、炎症性サイトカインの下流シグナルp38、NF-kβ経路の活性化について検討する。さらにサイトカインIL-6の下流の転写因子STAT3活性化についても調べ、TGF-β2とサイトカインがどのように協調的に機能するかについて調べる。また阻害剤を用いて、上記においてシグナルの抑制効果についても調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者が産前産後休暇、育児休暇を4か月取得し、その間実験を中断しており、試薬等の購入等が減り、次年度に繰り越すこととなった。 本研究で使用するヒト線維柱帯細胞、またサルの眼球は高額のため、その購入に充てる。また試薬、特に抗体が高額なため、その購入に使用することとする。
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