2014 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βおよび炎症性サイトカインシグナルを分子基盤とした房水流出機構の解析
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25861640
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 みゆき 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (20631766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 緑内障 / 線維柱帯細胞 / TGF-β2 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国において失明原因の上位を占める緑内障は眼圧上昇が危険因子として知られている。この眼圧上昇は房水流出抵抗が上昇することにより生じる。この房水流出調節のメカニズムを探るため、本研究は緑内障患者房水内で非患者と比較して高値であるTGF-β2とTGF-β2に誘導されるサイトカインに着目した。 眼圧上昇の一因として細胞外マトリックスの沈着、アクチン重合などが知られており、TGF-β2もそれらを誘導する生理活性物質の一つである。申請者はこれまでヒト線維柱帯細胞を用い、TGFβ-2によるアクチン重合やコラーゲン産生への影響について検討し、さらにTGF-β2反応サイトカインについて検討を行った。今回の研究により、TGF-β2によるアクチン重合、タイプ1コラーゲンの増加を確認した。またその増加はアクチン重合を生じさせるRho-ROCKシグナルを阻害するROCK阻害剤により抑制傾向が見られた。また同じTGF-β2シグナルによって誘導され、ストレス反応によって活性化するp38MAPキナーゼの阻害剤はアクチン重合には影響を及ぼさなかったが、タイプ1コラーゲンの発現を有意に抑制することが明らかになった。よって、ヒト線維柱帯細胞においてTGF-β2によって活性化される複数のシグナルがアクチン重合、およびコラーゲン産生に影響を及ぼしていることが示唆された。また、今までの申請者の研究よりTGF-β2によってIL-6、IL-8、PDGF-AAの上昇が確認されているが、その一つのIL-6にまず着目し、TGF-β2との相互作用について検討を行った。TGF-β2によって産生されるalpha-SMAの発現がIL-6/solubleIL-6R濃度依存的に抑制されることが示唆された。房水生理活性物質の相互作用の房水流出路に及ぼす影響を調べることにより、房水流出調節メカニズムを明らかにすることが出来ると考えている。
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