2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素上皮でのリポ蛋白・アミロイドβの機能の解明と加齢黄斑変性の治療への応用
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25861644
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 里奈 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80634451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜色素上皮 / アミロイドβ / リポ蛋白 / 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性は成人失明の原因疾患の第4位であり、近年、増加傾向にある、重大な疾患である。加齢黄斑変性の特徴的な前駆病変として、網膜色素上皮(RPE)の直下に沈着するドルーゼンが重要であるが、ドルーゼンの内部にはアルツハイマー病の老人斑に認めるアミロイドβが存在していて、加齢黄斑変性との関連が示唆されている。また、加齢性変化として、ドルーゼンやブルッフ膜内には脂質の沈着を認め、脂質の由来は、網膜色素上皮(RPE)細胞が産生するリポ蛋白であることがわかってきている。我々は、網膜色素上皮細胞の3次元球体培養を用いて、RPEのリポ蛋白産生機能とアミロイドβの関連の解明を行っている。ヒトRPE細胞を96穴丸底培養皿にてメチルセルロース添加培養液で培養して、1層のRPEを表層にもつ球状塊を作成した。RPE球状塊は、内部のアポトーシスを起こした成分を表層のRPEが貪食、処理して、表面にリポ蛋白を排泄しながら縮小化が観察できる。アミロイドβ産生をβおよびγセクレターゼ阻害剤により阻害すると、細胞球からのリポ蛋白の排泄が少なく、表面は平滑であった。リポ蛋白の主要構成成分であるapoEの発現低下と共に、ブルッフ膜の主要構成成分であるエラスチンの発現も低下していた。大型のリポ蛋白の排泄にはブルッフ膜のリモデリングが不可欠であると推測され、これはリポ蛋白とブルッフ膜の構成成分の発現低下が同調していることからも支持される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間で行う研究計画の2年目としての結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、リポ蛋白の主要成分であるapoE以外にapoB-100の局在を免疫染色にて、発現量をウェスタンブロットにて評価を行う。また、ブルッフ膜の主要構成成分として、エラスチンの他、1型および4型コラーゲンの局在、発現量の評価も行う。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため、27年度分とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度分と合わせて、実験試薬を購入する。
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