2013 Fiscal Year Research-status Report
補体活性化抑制因子産生の偏奇に係る分子機序の解明によるAMDの斬新な早期診断法
Project/Area Number |
25861646
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
米田 一仁 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00347460)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 眼病理学 / 加齢黄斑変性 / 補体 / マクロファージ |
Research Abstract |
補体活性化抑制作用を有するクラスリン発現抑制がTNFで惹起されることは確認したが、シーズ化合物による抑制修復作用の確認には至らなかった。代わって、同じ補体活性化抑制因子でありRPEからの産生が知られるCD46, CD55, CD59について、輸入人眼球での発現を免疫組織学的に検討し、AMD病態との対応付けを実施し、シーズ化合物の薬理効果をEx Vivoで評価する実験系を確立することができた。所期の目的とずれたが、ヒト眼球組織を用いての評価系を確立できた点は成果としては大きい。上記OBP化合物、SAG化合物についてはin vitro培養系では、C3の産生抑制が認められたが、補体抑制因子として知られるCFH,CD46, CD55, CD59などの産生増強作用は確認できなかった。抗炎症作用の可能性は認められたが、補体活性化抑制増強作用は認められず対象病態の選別に留意が必要である。 また、加齢黄斑変性の発症に重要な網膜色素上皮とマクロファージの間の炎症増悪サイクルの抑制作用について検討した。 GRAファミリーに属する複数の化合物が腹腔由来MpsからのLPS刺激によるTNF産生を抑制すること、RPEからのIL-6産生に対しては全く抑制作用を示さないことが判明した。一方、OBP化合物はRPEからのIL-6産生抑制することを確認した。目的はほぼ達成できた。Bioplex27を用いる検定ではRPEに作用するシーズ化合物OBPはTNFにより誘導されるIL-6産生を著明に抑制する(IC50=2nM)とともにIL-17(IC50=7nM), GM-CSF(IC50=2nM), Rantes(IC50=2nM)産生を抑制したが、PDGFbbやIL-8産生は増強した。後者の増強効果は著明であり、公知の多くの炎症阻害剤がMAPK, NF-kB経路を介するIL-6, IL-8両者同時抑制と好対照をなす。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢黄斑変性(AMD)の先制医療につながる独創的医療技術の開発を目的とする。酸化脂質によって惹起されるマクロフアージ(Mps)、網膜色素上皮細胞(RPE)機能の変性に係わる補体活性化抑制機構破綻の分子基盤を遺伝子・miRNA発現の網羅的解析により明確化する。黄斑局所の恒常性維持に不可欠なMpsとRPE亜集団の時空間的相転移に係わる脂質代謝系, 補体系とのネットワーク破綻の解明に焦点を絞る。組織恒常性維持には、内因性危険信号を感知するRPE やMps が担う自然炎症系への代謝系の統合機能が重要な役割を果たす。補体成分、補体活性化抑制因子の産生能を異にするMps亜集団(M1/M2)の偏奇により持続する網膜下組織炎症に焦点を当て、病態の分子機序の新しい局面を解明AMDの斬新な早期診断法を提供する。という研究目的にしいして、マクロファージともうRPE昨日の変性にかかわる上記成果を達成しており、また、補体系活性化の抑制因子であるCD46, CD55, CD59やクラステリンの発現変化を人患者眼球にて確認することができており、おおむね順調に研究目的を追行できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究推進方策としては、(1)酸化脂質によるRPE/Mpsからの補体産生能の修飾とオート・パラクリン系を解析し、POS貪食機能修飾の解析を行う。(2)補体抑制機構の破綻によるMps亜集団の活性化の偏奇および機能変性を解析する。Auto MACSでMpsを精製し、脈絡膜浸潤Mps亜集団の同定はF4/80,CD11c,IL-10,Scavenger受容体などの表面マーカー検定とともにMGL,Mincle,CCR2,CX3CR1,IL-1Rなどの発現を免疫組織染色で検討し、M1vs M2の亜集団属性と対応させる。必要に応じTNF-α,CCL2,IL-10,IL-6,NOS2,Arginase,FasL,MMP、PAI-1などの発現も検討する。(3)AMD患者患者末梢血中の単球の偏奇(M1 vs M2)の解析を行う。対照は白内障患者検体とする。(4)ドルーゼン構成成分がRPE/Mpsの相転移に関与するか否か検討する。脂肪滴や補体成分などを多量に貯留する。これら貯留成分によりRPE/Mpsが変性するか検定する。脂質成分の関与としてはLDL、飽和脂肪酸などを中心に、補体系関与の可能性を確認するためにはC3変換酵素複合体C3b/BbによるRPE/Mps活性化の関与を明らかにする。患者ドルーゼン(独Erlangen大、米Seattle眼球銀行より受納) また、組織浸潤の免疫組織化学的解析(患者組織)Mpsの浸潤、補体成分の沈着の検出。(5)緑内障患者(落屑緑内障を含む)の血清、前房水を用いてAMD患者での知見の主要点の比較検定:特に補体成分、補体活性化抑制因子の体内動態と病態の対応の検定。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね予定通りの使用状況であるが、少額の繰り越し分については次年度に実験試薬等の物品で使用予定である。 研究計画に乗っとり、物品購入および成果の発表を行う予定である。
|