2014 Fiscal Year Annual Research Report
角膜上皮幹細胞ニッチにおけるメラノサイト幹細胞の役割
Project/Area Number |
25861650
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮下 英之 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (60424173)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メラノサイト / 上皮幹細胞 / 幹細胞ニッチ / 角膜輪部上皮 / 培養上皮シート |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は初代培養ヒト角膜輪部上皮シートにメラノサイトを見出したことから、メラノサイトまたはメラノサイト幹細胞が上皮細胞のニッチとして働いているとの仮説を立て、これを検証した。前年度では角膜輪部由来の培養メラノサイトとの上皮との共培養実験を行ったが、メラノサイト添加群と非添加群とで有意な差は認めなかった。この時、培養メラノサイトの純度が高くはなかったため、最終年度では純度の高いメラノサイト培養法を導入し、上皮との共培養を行った。あわせて、FASCにより輪部から上皮と新鮮メラノサイトを分離したのち、メラノサイト添加群と除去群にわけて共培養も行った。培養メラノサイトとの共培養系では、上皮シート内に多数のメラノサイトを認めるものの、未分化細胞マーカーの発現やコロニー形成率に有意な差は認めなかった。なお、メラノサイトを大量に播種した群では上皮はメラノサイトの上下にもぐりこみ、2層の上皮にメラノサイト層が挟まれるような形態を示した。FACSによる新鮮輪部メラノサイトとの共培養群では、分離メラノサイト数が少ないため上皮の潜り込みは起こらなかったものの、培養6か月目までに添加群および除去群に有意な差は認めなかった。なお、通常の初代培養上皮においては培養1年でも上皮幹細胞マーカーK15陽性細胞とメラノサイトの共局在が観察され、K15陽性細胞内にはメラノソームと思われるPMEL陽性の顆粒も認められたが、メラノサイトの局在しないK15陽性細胞も観察された。これらのことは、培養下ではメラノサイトは必ずしも上皮幹細胞のニッチとしては働いていない可能性を示唆する。しかしながら、メラノサイトはほぼ必ずK15陽性細胞と共局在していたことから、毛包と同じくK15陽性細胞がメラノサイトのニッチとして働いている可能性も示唆される。今後はメラノサイトの局在も含めた長期初代培養上皮のデータを論文発表する。
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Research Products
(3 results)