2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861658
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
柴田 奈央子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20534647)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 翼状片 / DNAマイクロアレイ解析 / 上皮間葉系移行 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト翼状片手術予定患者とコントロールとして結膜弛緩手術予定患者の同意を得て切除された検体を採取した。翼状片は角膜輪部から角膜側を頭部、それ以降の結膜と結膜下組織を体部として分けて採取し半切した。 検体の数例でDNAマイクロアレイ解析及び遺伝子オントロジー解析を行い、代表的な変化の見られた遺伝子をウエスタンブロット法、リアルタイムPCR法でこれらの遺伝子発現を検討した。その結果、翼状片頭部において創傷治癒や癌の進行に関与する蛋白分解酵素であるMatrix metalloproteinase(MMP)9および比較的高分化な腫瘍でみられるとされる上皮性マーカーであるkeratin(KRT)24が体部と比較して発現が多くみられた。遺伝子オントロジー解析により、翼状片頭部で発現が上昇していた遺伝子群は、細胞外マトリックスに関連するものや、血管の伸長に関する遺伝子が多かった。また、発現が減少していた群では、ウイルス防御に対する反応に関する遺伝子群や自然免疫に対する遺伝子群が減少していた。上皮間葉系移行のマーカーであるα平滑筋アクチン(αSMA)の発現はコントロールではほとんどみられず翼状片で多く発現がみられた。 抗酸化タンパクPeroxiredoxin6(Prdx6)は翼状片頭部が体部よりも減少していた。Prdx6の発現は酸化ストレスが多すぎると減少するという性質があるため、頭部と体部の差異については、頭部でより酸化ストレスが強かった影響と考えている。 翼状片は、角膜輪部の細胞のEMT変化や腫瘍性変化、酸化ストレスなどにより機能異常をきたし発症する病態であることが予測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って実験が遂行できている
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト結膜線維芽培養細胞に紫外線照射を加え上記遺伝子の発現量を解析中である。翼状片の組織変化は角膜輪部に首座があると考え、今後は角膜培養細胞でも同様の紫外線照射実験を行っていく方針。
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