2013 Fiscal Year Research-status Report
治療導入を目標とした黄斑部遺伝性疾患に対する臨床診断ならびに分子遺伝生物学的解析
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25861662
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤波 芳 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 視覚生理学研究室, 医師 (60646206)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 眼遺伝学 |
Research Abstract |
本研究の目的は黄斑部遺伝性疾患を対象に、臨床診断ならびに、遺伝子治療、薬物治療、網膜色素上皮細胞移植、人工網膜移植を目標とした遺伝子解析を行い、遺伝性網膜疾患治療を推進することである。 黄斑部遺伝性疾患は若年期より視力不良を来し、緑内障や加齢黄斑変性症等の近年治療法が飛躍的に向上した眼科疾患に比べ、難治である。2007 年に遺伝性網膜疾患に対する遺伝子治療の臨床治験が始まり、黄斑部遺伝性疾患への治療導入についても現実味を帯びてきた。本研究では、黄斑部遺伝性疾患について、臨床的所見、分子遺伝生物学的所見、双方からの包括的アプローチにより、詳細に病態生理を理解し、病態生理に即した治療導入のための準備体制の確立を目指す。 二か年に渡る研究計画の概要としては、初年度に本研究の基盤となる症例集積を主に行い、約100症例の黄斑部遺伝性疾患患者コホートを作成する。翌年には各症例に対して、原因遺伝性の特定を行う為の分子遺伝生物学的解析を行い、遺伝子診断を確定する。 其々の疾患、もしくは原因遺伝子に関して十分な症例集積が得られた時点で、臨床型と遺伝子変異との関連解析を行い、治療導入(臨床治験)が行われているタイプの黄斑部遺伝性疾患に関しては臨床治験を行っている英国モアフィールド眼科病院の遺伝性網膜疾患部門と緊密に連携し、患者背景を考慮し、施設判断を仰ぐ中で治療適応を検討してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には本研究の基盤となる黄斑ジストロフィ症例集積が行われた。症例集積は主にStargardt病、黄斑ジストロフィー、オカルト黄斑ジストロフィー、錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィ、ベスト病、若年性網膜分離症などの疾患を対象に行われ、東京医療センター眼科診療部または連携施設において、視力・視野等の自覚症状、蛍光眼底造影、自発蛍光撮影を含む眼底所見、フーリエドメイン光干渉断層計(OCT)を用いた網膜形態学的所見、黄斑部局所網膜電図(局所ERG)を中心とする電気生理学的所見を用い、遺伝性黄斑疾患の包括的臨床診断を確定し、疾患重症度や病期、臨床病態の評価が詳細に行われた。 集積された総症例数は2014年3月時点で89家系105症例であり、コホートの内訳はオカルト黄斑ジストロフィー40家系49症例、錐体ジストロフィー・錐体桿体ジストロフィー40家系46症例、スターガルト病8家系9症例、ベスト病1家系1症例であった。また、臨床診断と並行して患者末梢血より分子遺伝学的診断に必要なDNAが採取された。この際全症例に対して、研究参加により得られる利益、または参加により起こりうる不利益についての説明が十分になされ、理解同意が得られた。 集積症例数は本研究の初年度到達目標である100例を超えており、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画として、本研究に対象となる疾患の症例集積を引き続き行ってゆくと伴に、各症例に対して分子遺伝学的解析・診断を行い、黄斑部遺伝性疾患の病態解明・治療適応の検討を行う。 分子遺伝学的解析については標的遺伝子であるABCA4、RP1L1、PRPH2、PROM1、BEST1、RS1などを中心に、サンガー法、次世代シークエンサーを用いたシークエンス法を用いて網羅的に行われ、結果をもとに分子遺伝生物学的診断が行われる。 其々の疾患、もしくは原因遺伝性に関して十分な症例集積が得られた時点で、詳細な臨床型と同一遺伝子内での遺伝子変異との関連解析(Genotype-phenotype correlation analysis)を行い、遺伝子異常のタイプと実際に発症している臨床型における発症年齢、重症度、進行度等との関連を明確にし、黄斑部遺伝性疾患における病態生理を解明する。 治療導入(臨床治験)が行われているタイプの黄斑部遺伝性疾患に関しては臨床治験を行っている英国モアフィールド眼科病院の遺伝性網膜疾患部門と緊密に連携し、患者背景を考慮し、施設判断を仰ぐ中で治療適応を検討してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費、旅費、人件費・謝金、その他の使用額について其々が予定額と異なった為、次年度使用額8,153円が生じた。 生じた次年度使用額8,153円は物品費として平成26年度に使用される計画である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Clinical and Molecular Analysis of Stargardt DiseaseWith Preserved Foveal Structure and Function2013
Author(s)
KAORU FUJINAMI, PANAGIOTIS I. SERGOUNIOTIS, ALICE E. DAVIDSON, GENEVIEVE WRIGHT, RAVINDER K. CHANA, KAZUSHIGE TSUNODA, KAZUO TSUBOTA, CATHERINE A. EGAN, ANTHONY G. ROBSON, ANTHONY T. MOORE, GRAHAM E. HOLDER, MICHEL MICHAELIDES, AND ANDREW R. WEBSTER
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Journal Title
American Journal of Ophthalmology
Volume: 156
Pages: 487-501.e1.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular characteristics of four Japanese cases with KCNV2 retinopathy: Report of novel disease-causing variants2013
Author(s)
Kaoru Fujinami, Kazushige Tsunoda, Natsuko Nakamura, Yu Kato, Toru Noda, Kei Shinoda, Kaoru Tomita, Tetsuhisa Hatase, Tomoaki Usui, Masakazu Akahori, Takeshi Itabashi, Takeshi Iwata, Yoko Ozawa, Kazuo Tsubota, Yozo Miyake
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Journal Title
Molecular Vision
Volume: 19
Pages: 1580-1590
Peer Reviewed
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[Journal Article] ABCA4 Gene Screening by Next-Generation Sequencing in a British Cohort2013
Author(s)
Kaoru Fujinami, Jana Zernant, Ravinder K. Chana, Genevieve A. Wright, Kazushige Tsunoda, Yoko Ozawa, Kazuo Tsubota, Andrew R. Webster, Anthony T. Moore, Rando Allikmets, and Michel Michaelides
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Journal Title
Investigative Ophthalmology & Visual Science
Volume: 54
Pages: 6662-74.
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] A Longitudinal Study of Stargardt Disease: Quantitative Assessment of Fundus Autofluorescence, Progression and Genotype Correlations.2013
Author(s)
Fujinami K, Lois N, Mukhopadhyay R, McBain, VA, Tsunoda K, Tsubota K, Fitzke FW, Moore AT, Webster AR, Michaelides M.
Organizer
The Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO) annual meeting 2013
Place of Presentation
Seattle, USA
Year and Date
20130505-20130509
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