2013 Fiscal Year Research-status Report
小児悪性固形腫瘍癌幹細胞におけるアルデヒド脱水素酵素1の発現に関する研究
Project/Area Number |
25861668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中畠 賢吾 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50643532)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / アルデヒド脱水素酵素1 / 横紋筋肉腫 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画として「小児悪性固形腫瘍におけるALDH1活性と臨床背景との相関を明らかにし、細胞株におけるALDH1の役割を検討する」ことを立案した。 まず「臨床検体での癌幹細胞の検出と臨床背景との相関」について、当科の横紋筋肉腫の検体を抗ALDH1抗体による免疫染色を行った。その結果胎児型と胞巣型の検体において、ともに抗ALDH1抗体で染色された。特に化学療法後の検体では染色される細胞が増加しており、ALDH1活性上昇細胞が高い薬剤耐性能を持つ可能性が示唆された。 次に胎児型横紋筋肉腫において、ALDH1活性上昇細胞群が癌幹細胞の性格を有するとの仮説に基づいて、活性上昇群におけるコロニー形成能、多分化能、薬剤耐性能を検討した。胎児型横紋筋肉腫の細胞株RDを用いてフローサイトメトリーによりALDH1活性上昇群と活性低下群に分離したところ、活性上昇群の割合は5.8%であった。コロニー形成能は、活性低下群では6 1well(6 well plate)あたり平均21.3個であったのに対し活性上昇群では平均36.3個と亢進していた。また脂肪細胞への分化を表すoil red O染色細胞は、活性非上昇群に比べ活性上昇群で増加した。薬剤耐性能は、各薬剤ともに活性上昇群の生存率が有意に亢進した。造腫瘍能は、1000個および10000個の活性上昇群を皮下注したNOD/SCIDマウスでは腫瘍形成を認めたが、活性非上昇群では10000個を皮下注したマウスでも腫瘍形成を認めなかった。 以上よりRDにおいて、ALDH1活性上昇群は高いコロニー形成能、薬剤耐性能、多分化能を持ち、さらに造腫瘍能の亢進を認めることから、癌幹細胞の性質を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り胎児型横紋筋肉腫の細胞株においては研究はおおむね順調に進展していると考えるが、横紋筋肉腫におけるもう一つの組織型である胞巣型の細胞株においては、同様の結果は得られていないのが現状である。胎児型横紋筋肉腫の臨床検体を用いた研究を継続していくとともに、胞巣型の細胞株においても、ALDH1活性上昇群の性質を解明していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ALDH1は横紋筋肉腫において癌幹細胞マーカーとして有用であると考えられるが、その一方でALDH1は正常細胞でも発現しているため、ALDH1単独では治療対象とならない可能性がある。そのため、ALDH1活性上昇群において特異的に上昇している新たなマーカーの同定を検討している。具体的な方法としては、ALDH1活性上昇群における遺伝子発現および細胞表面マーカーの発現を、DNAマイクロアレイや抗体アレイを用いて網羅的に解析を施行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に必要な試薬を購入するのに必要であるため。 臨床応用可能な癌幹細胞マーカーを同定するための抗体を購入する。
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