2014 Fiscal Year Research-status Report
小児悪性固形腫瘍癌幹細胞におけるアルデヒド脱水素酵素1の発現に関する研究
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25861668
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中畠 賢吾 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50643532)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / アルデヒド脱水素酵素1 / 横紋筋肉腫 / ジスルフィラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画として「小児悪性固形腫瘍におけるALDH1活性と遺伝子変化に関する検討、およびALDH活性阻害による抗腫瘍効果を検討する」ことを立案した。 前年度までの実験(胎児型横紋筋肉腫の細胞株RD)に加え、同じく胎児型横紋筋肉腫の細胞株であるKYM-1を用いて同様の実験を行い、RDおよびKYM-1においてALDH1活性上昇群は高いコロニー形成能、薬剤耐性能、多分化能を持ち、さらに造腫瘍能の亢進を認めることから、癌幹細胞の性質を有する可能性が示唆された。これまでの結果をまとめ、国内学会(日本外科学会、日本がん転移学会、日本小児血液・がん学会)および海外学会(International Society of Paediatric Oncology)で発表した。また現在海外雑誌(PLoS One)に投稿中である。 小児悪性固形腫瘍における遺伝子変化については、リアルタイムPCRを用いて、RD細胞の活性上昇群と活性非上昇群との間でStemness geneおよびOncogene(癌遺伝子)の発現を比較した。その結果Oncogeneであるc-Mycの発現に差は認めなかったが、活性上昇群においてStemness geneであるSox2の発現の上昇を認めた。このことからもALDH1活性上昇群が癌幹細胞としての性質を有する可能性が示唆された。 同様に薬剤輸送に関与するABCトランスポーターの発現をリアルタイムPCRを用いて比較したところ、抗がん剤の排出に関わるABCB1 (Multiple drug resistance 1)およびABCB1 (Breast cancer resistance protein)の発現が活性上昇群において上昇していた。このことから活性上昇群において、ABCトランスポーターの発現上昇により、薬剤耐性能が上昇する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り胎児型横紋筋肉腫の細胞株においては、RDおよびKYM-1を用いて上記の結果を得ることができたため、研究はおおむね順調に進展していると考える。その一方で横紋筋肉腫におけるもう一つの組織型である胞巣型の細胞株においては、同様の結果は得られていないのが現状である。胎児型横紋筋肉腫の臨床検体を用いた研究を継続していくとともに、胞巣型の細胞株においても、ALDH1活性上昇群の性質を解明していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ALDH1活性上昇群において特異的に上昇している新たなマーカーの同定を検討中である。具体的な方法としては、ALDH1活性上昇群における遺伝子発現および細胞表面マーカーの発現を、DNAマイクロアレイや抗体アレイを用いて網羅的に解析を施行する予定である。 最近の成人領域の腫瘍において、慢性アルコール中毒に対する抗酒療法に用いるジスルフィラムが抗腫瘍効果を持つことが報告されている。またジスルフィラムはALDHを阻害する薬剤であることから、ALDH1活性上昇群の細胞を標的とする治療につながることが期待されるため、現在RDおよびKYM-1を用いて実験を施行中である。
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Research Products
(4 results)