2013 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒過程における単球・マクロファージ系細胞と線維芽細胞との相互作用の解明
Project/Area Number |
25861699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
菅 浩隆 杏林大学, 医学部, 助教 (60633972)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 単球 / マクロファージ / 線維芽細胞 / 線維化 |
Research Abstract |
創傷治癒過程における単球・マクロファージ系細胞と線維芽細胞との相互作用を調べるため,まずは両細胞の共培養系を確立した。2層構造から成る特殊なプレート(BD社,セルカルチャーインサート)を用いることにより,末梢血から採取した単球・マクロファージ系細胞は上層で,皮膚から採取した線維芽細胞は下層で,共通の培地のもとでそれぞれ独立して培養することが可能となった。その結果,線維芽細胞は単球・マクロファージ系細胞との共培養下ではその増殖が促進されることが明らかとなった。また,遺伝子発現を調べた結果,共培養下では,線維芽細胞のコラーゲン発現は抑制される一方,MMP1発現は促進されることが明らかとなった。同様の傾向は,単球・マクロファージ系細胞の培養上清を線維芽細胞に加えた場合でも認められた。以上の結果から,創傷治癒過程では,単球・マクロファージ系細胞が分泌する液性因子により,線維芽細胞の増殖は促進されるものの,線維化そのものはむしろ抑制されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた単球・マクロファージ系細胞と線維芽細胞の共培養系を確立することができた。また,その共培養系を用いることにより,線維芽細胞は単球・マクロファージ系細胞の存在下では増殖が促進されること,一方では線維化はむしろ抑制されるという新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により,単球・マクロファージ系細胞による線維芽細胞の増殖促進,線維化抑制は明らかとなったが,そのメカニズムは未だに不明である。単球・マクロファージ系細胞は様々な液性因子を分泌することが知られているため,今後はそれらの液性因子を中和抗体などによって阻害する実験を行い,線維芽細胞の増殖促進や線維化抑制をコントロールしている液性因子を同定したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MACS細胞分離装置を購入予定であったが,これまでのところ他の研究室から借用することにより購入せずにすんできたため。 今後継続して研究を進めていくためにはMACS細胞分離装置を頻回に使用する必要が出てくるため,研究の進行状況に応じては次年度に購入する予定としている。
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