2014 Fiscal Year Research-status Report
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25861704
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 達也 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60641321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗張力反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス背部皮膚に持続的に張力がかかるように延長器をとりつけて、延長器を伸ばすことで持続的に表皮に張力が負荷されるようにした。そして組織を採取して免疫組織学的解析を行った。上皮細胞のマーカーであるケラチンを染色した。なかでもケラチン5は表皮最下層の基底細胞にて発現している。本マーカーが陰性、すなわちのより表層の終末分化に近い細胞にSmooth muscle action(SMA)の強い発現を見出した。本たんぱく質はその名のとおり、通常は平滑筋に存在するが、繊維芽細胞からも発現することが分かっており、SMAの発現は収縮に関与しているとされていることから、組織が、持続的張力に拮抗して発現したことが示唆された。さらに持続的張力を付加した部位においてはケロイド様の創部を呈していた。ケロイド様組織ではコラーゲンの合成促進と繊維化を示すしていたために、同部での免疫染色を行った結果、Tissue inhibitor of metalloprotease-2 (TIMP2)の低下を認めた。本たんぱく質は細胞外のコラーゲンを分解する酵素であるmatrix metalloproteinase(MMP)を阻害する作用がある。すなわち同部ではコラーゲンの分解抑制もきたしていることが示唆された。そこで、TIMP2を投与して持続的張力負荷モデルを作成したところ、ケロイド様創部を形成することは認められなかった。この事象は創傷治癒にも影響していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りモデルにより作成された皮膚組織を採取し、免疫組織学的解析を行った結果、新たにTIMP2の有意な低下を認めた。このときに得られた創部はヒトのケロイド様であり、抗張力がケロイドや創傷治癒にも影響していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮細胞特異的CreマウスであるKeratin5-Creマウス、またはKeratin14-CreERT2マウスとの交配により表皮細胞特異的ノックアウトマウスを作成し、皮膚持続的張力負荷時の表皮における該当遺伝子の機能をより特異的に解析する。その他、マイクロアレイ解析などにより得られた、皮膚張力負荷時に変動する特に興味深い遺伝子が阻害剤・ノックアウトマウスとも存在しない可能性は十分にある。この場合、独自の遺伝子改変マウスの作成に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
交配を当該施設に保有のマウスで行い、新たなマウスを購入する必要がなかったために差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
網羅的遺伝子検査の結果、関与する新たな遺伝子が見つかった場合にはその免疫染色を行うための試薬の購入を行う。
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