2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 泰三 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00636508)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テネイシンC / 心筋梗塞 / 虚血再還流傷害 |
Research Abstract |
本研究では心筋梗塞後の虚血再灌流障害による心筋障害とそれに引き続く心室リモデリングにおける細胞外マトリックス分子、テネイシンC(TNC)のとくに急性期の炎症制御ににおける役割を明らかにし、新たな治療ターゲットとしての可能性について検討することを目的とした。 本年度は心筋虚血再還流マウスモデルの再現性が不安定であると判断し、まずTN-Cノックアウト(KO)マウスを用いて心筋完全虚血モデル(myocardial infarction: MI)を作製し急性期の炎症反応と慢性期の心室をリモデリングの程度を野生型(WT)マウスと比較した。心筋梗塞12週後の慢性期ではWT+MIとKO+MIで生存率には有意差はなかったが、KO+MI群のほうがWT+MI群よりもより心機能が保たれており(LVEF:左室収縮率 19.02±6.31% vs 10.63±4.43%; p<0.001)、線維化が抑制されていた。これらの慢性期の結果はTN-C欠損により心筋梗塞後リモデリングが抑制されていることを示している。一方で急性期の 心筋のFluorescence activated cell sorting (FACS) 解析では心筋梗塞後7日目でKO+MI群でWT+MI群と比較してCD45+, F4/80+, CD206+の炎症抑制性M2マクロファージの割合が多く、CD45+, F4/80+, CD206-の炎症促進性M1マクロファージの割合が少なかった。好中球の割合は両群間で優位な差はなかった。また、KO+MI群で炎症抑制性サイトカインであるIL-10発現も有意に亢進していた。これら急性期の結果から、TN-Cは心筋梗塞後急性期のマクロファージのフェノタイプの制御を介して炎症を持続、促進し慢性期の心室リモデリングを促進している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テネイシンCの心筋梗塞後急性期における炎症制御の役割を一部明かにしたが、今年度は心筋虚血再還流モデルのばらつきが大きく、再現性が不十分と考えられたため、完全虚血モデルを使用した。よって当初の予定通り心筋梗塞後虚血再還流傷害におけるテネイシンCの役割が明らかになっていない。また、テネイシンCの心臓特異的過剰発現マウスを使った動物モデル実験がまだできていない。よって当初計画よりもやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋虚血再還流モデルと心筋完全虚血モデルでは心筋壊死という点では共通するが、再還流傷害の有無に相違点がある。現時点では心筋虚血再還流モデルのばらつきは少なくなり、安定したモデルが作製できると判断したため、今後は当初の計画通り心筋虚血再還流モデルを作製し、急性期の心筋梗塞層における炎症細胞浸潤や炎症制サイトカイン誘導におけるテネイシンCの役割を明らかにする。また同様の実験をテネイシンC過剰発現マウスでも行う。 一方で培養細胞実験では好中球、血管内皮細胞に対するテネイシンCの作用と、その受容体と予想されるToll like receptor 4 (TLR4)の関与を明らかにする予定である。さらに昨年度の心筋完全虚血モデルを使った実験系ではテネイシンCが心筋梗塞後急性期のマクロファージのフェノタイプにも影響を与えることが確認されたため、脾臓もしくは骨髄マクロファージに対するテネイシンCの作用を明らかにする実験も行う予定である。
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Research Products
(1 results)