2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規DAMPsHSPB8に着目した治療応用への挑戦
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25861722
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
麻生 結子 大分大学, 医学部, 研究支援者 (60635358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DAMPs / HeatShockProtein27 / 急性炎症反応 / LPS / 急性肺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究テーマは、重症臓器不全のメカニズムの一つとして最近注目を集めているDamage-associatedmolecul arpattern molecules(DAMPs)である。DAMPsとは細胞の構成成分でありながら、重度の炎症において細胞外に放出され、遠隔臓器で炎症反応等の様々な生体反応を生じさせる物質の総称であり、代表的な蛋白としてはHMGB1が知られている。現在までに知られているDAMPs以外にキー蛋白となりうるものがあるか否かを検索した結果、ラットを用いたLPS投与全身性炎症反応モデルにおいて、Heat Shock Protein 27(HSPB8)を新たな因子として見出すことに成功した。 昨年度までの研究において、ラット盲腸結紮先行モデルの血液中HSPB8濃度が上昇し、結果として肺組織にて急性肺障害様の所見を認めることが分かった。更に、リコンビナントHSPB8を100μg/kg投与すると、6時間後の肺組織において肺胞内への炎症細胞の浸潤や間質の肥厚などの急性肺障害と判断出来る像の存在を見出した。 最終年度である本年度の研究にてHSPB8をマウスマクロファージ系細胞RAW264.7細胞において、添加した際のサイトカイン誘導作用を検証した結果、添加後容量依存的にサイトカインを誘導し、更にその誘導作用は6時間後から急激に上昇することが分かった。そして、そのメカニズムとして、NF-kBを中心とした細胞内シグナル伝達に変化を与える事での効果であることが証明された。 今回の研究により、HSPB8が初めて臓器障害に関与していることが証明され、重症炎症性病変において非常に重要な役割を担っている可能性が高いことが証明された。
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