2014 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショック治療薬としてのトロンボモデュリンの効果
Project/Area Number |
25861723
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
矢野 武志 宮崎大学, 医学部, 助教 (80521707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的)敗血症性ショックでは、様々な機序により血管内皮細胞が傷害されている。血管内皮機能の破綻は、凝固線溶系のバランスを破綻させ、播種性血管内凝固症候群(DIC)を生じさせる。また、これらの血管内皮傷害が、血管の収縮弛緩連関を破綻させ、血管拡張性低血圧である敗血症性ショックの病態生理に関連している可能性が考えられる。本実験では、DIC治療薬のトロンボモデュリンによる敗血症時の血管内皮保護作用や、ショックからの離脱作用について検討する。
方法)ラット敗血症性ショックモデルを用いて、血行動態に対するトロンボモデュリンの影響を観察した。大腿動静脈へカニュレーションしたラットに対して、リポポリサッカライド(LPS)を投与し、敗血症性ショックモデルを作成した。トロンボモデュリンを投与した後にLPS投与を行ったトロンボモデュリン群、あるいは同量の生理食塩水を投与した後にLPSを投与したLPS群、これら2群の血行動態を比較検討した。またLPS投与から4時間後に血液を採取し、動脈血液ガス検査等を行った。
結果)トロンボモデュリン投与による直接的な血圧変動は認めなかった。LPS投与から20分後より、両群ともに平均血圧の下降を認めた。トロンボモデュリン群では、LPS投与から80分後より血圧回復傾向を示したが、LPS群では、血圧はさらに下降し、4時間後には著しい低血圧を呈した。動脈血液ガス検査において、LPS群ではトロンボモデュリン群に比べて、高乳酸血症、高カリウム血症、アシドーシスを認めた。
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