2014 Fiscal Year Annual Research Report
高度凝固障害を伴う重症外傷TAEで救急医が平易に扱える強力な塞栓物質の新規開発
Project/Area Number |
25861728
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
米満 尚史 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80382331)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重症外傷 / 凝固障害 / TAE |
Outline of Annual Research Achievements |
経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)で使用される塞栓物質NBCA(N-Butyl Cyanoacrylate)は、高度凝固障害に陥った重症外傷では動脈性出血に対する強力な塞栓物質であることが臨床現場や近年の実験研究などで広く証明されつつあるが、NBCA使用には手技者の熟練を要するため汎用性という点で弱点がある。そこで、非放射線科医/救急医でも比較的習熟しやすい一般的な塞栓物質であるゼラチンスポンジの塞栓力を抗線溶をもつ薬剤トラネキサム酸混和で強化することで、汎用性を保ちながら高度凝固障害のある場合でも高い塞栓効果を発揮できる新たな塞栓方法を創出できないか、実験的検討を行った。 前年平成25年度の実験では、ウロキナーゼ・ヘパリン投与で高度凝固障害を人工的に作成したクラウンミニブタの腎損傷モデルに対し、通常のゼラチンスポンジ(GS)塞栓とトラネキサム酸混和ゼラチンスポンジ(TXA-GS)塞栓を行い、今年度も同様の実験を追加し検討対象数を増やした(2年間で計8頭/32腎損傷)。 クラウンミニブタの外傷性出血(のみ)モデルと外傷性出血+線溶亢進(ウロキナーゼ投与)モデルの2群(4頭ずつ)を作成し、それぞれ「ゼラチンスポンジ(GS)塞栓」「ゼラチンスポンジ(GS)+トラネキサム酸(TXA)塞栓」をそれぞれ行い、1)一次塞栓完了の可否評価、2)塞栓完了後5分・10分・15分・30分の再出血の有無評価、3)塞栓血管の病理学的評価、を行った。結果的に、高度凝固障害のある外傷ブタモデルではTXA-GS塞栓の方が、塞栓効果が高い可能性が示唆された。実験結果より、GSにTXAなどの薬剤を混和することで簡便に塞栓効果強化できる可能性が示唆され、さらなる研究発展にもつながることと考える。
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