2014 Fiscal Year Research-status Report
気胸検出を可能とする自作生体音響システムの改良と災害現場での応用
Project/Area Number |
25861734
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林 伸洋 順天堂大学, 医学部, 助教 (30464283)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ノイズキャンセル / 騒音抑圧型聴診器 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年では医師の災害現場への派遣活動、ドクターヘリコプターやドクターカーなどの運用が盛んに行われているが、病院と異なりレントゲンやCT装置の無い災害現場、あるいは救急現場であってもいかに防ぎ得た外傷死(Preventable Trauma Death)を防ぐかが課題となる。特に胸部外傷で頻繁に認められる外傷性気胸の病態には致命的な緊張性気胸(Tension Pneumothorax)へ移行する患者の存在が知られており、病態の早期認知により現場での適切な治療(胸腔ドレナージ)が実施できる。筆者は以前に呼吸音を記録分析できる装置を開発しているが、その装置を更に改良し実際に医療現場での適用により病態の早期認知や有効性を検証することが目的である。 初年度の平成25年度は自作装置の屋外での使用を検討したが、屋外使用での問題点として周囲の騒音が過大であり。患者の呼吸音の音響解析は困難であると判断した。早急に音響技術専門企業(株式会社エー・アール・アイ)にノイズキャンセリング技術を組み込んだ聴診器型マイクおよび記録解析PCソフトウェアの作成を依頼し平成25年度末に試作機(騒音抑圧型聴診器)を完成した。この試作機は同社保有の特許技術である『高速H∞フィルタ(FHF)』を組み込んだシステムであり、演算量を適度な範囲に収めながら、同定性能が良いアルゴリズムを実現することを目的としており、課題である騒音抑圧への可能性を期待したものである。平成26年度は新装置の実臨床での試用の前段階として、新装置を用いて実験室(無響室)で模擬人形(気胸モデル)に対して、既知の騒音が抑圧できるか基礎データを採取した。模擬人形の呼吸数や心拍の影響がない事を確認し、相当の騒音下でも呼吸音減弱の解析記録(気胸の診断)が可能であることを確認できている。サンプルが少ないため次年度さらに増やす予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度中に、無響室、模擬人形の気胸モデルでの基礎データを解析し、新装置を用いて実臨床でのデータ採取を開始する予定であったが、基礎データ採取(実験)が実験時間が取れなかった事、新装置のポータブル電源化ができていなかった事などにより、屋外での記録ができなかった事が影響する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、引き続き無響室での実験の回数を重ねる予定である。更に、改良新装置を2台に増やし、2施設(病院)での症例記録を開始する。症例が増えたところで解析し実際に気胸を検出できたかどうかを評価する。また細かな修正点は開発業者と連携し改善していく方針である。なお6月には第29回日本外傷学会で本研究の中間報告を発表予定となっている。
|
Research Products
(1 results)