2014 Fiscal Year Research-status Report
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25861750
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
深町 はるか 昭和大学, 歯学部, 助教 (10433799)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / Prevotella intermedia / 鉄獲得機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
Prevotella intermediaは、歯周病原細菌として知られている。本菌の増殖にはヘム鉄を必須とするので、鉄の獲得機構が重要な病原因子の一つとして挙げられる。本菌の鉄獲得機構は、赤血球の溶血、ヘモグロビンの分解、ヘムの菌体内取り込み、菌体内の鉄の貯蔵からなると推測されるが、それぞれに複数の酵素が関与することから。鉄獲得機構の全容が解明されていない。本研究では、赤血球中のヘモグロビンを細菌が利用可能な鉄源とするための分解、取り込み、菌体内貯蔵の過程に関わる酵素群の分子生物学的性質を明らかにするとともに、 昨年度までにヘモグロビンの分解に関わるシステインプロテアーゼ(PI1993, PI0811)および鉄貯蔵タンパク(FtnA)の酵素学的性質を解析した。本年度は、一連の鉄獲得機構関連酵素(溶血素群、Hb分解酵素群、鉄取り込み系酵素群、鉄貯蔵酵素)の環境変化に対する発現応答を解析した。鉄獲得機構に関連する酵素群は、鉄欠乏状況で菌を発育させた場合に発現量が増加することが知られていることから、鉄欠乏条件下で培養後、これらの遺伝子群の発現量を定量し、鉄獲得への関与を解析した。また、本菌における鉄獲得機構は、増殖に必須であるとともに、酸化ストレスの防御因子関連酵素の活性発現に鉄が必須であることから、酸化ストレス防御にも関与することが推測された。そこで、本菌を酸化ストレス環境下で増殖させたのち、これらの遺伝子群の発現量を定量し、酸化ストレス応答への関与を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、Prevotella intermediaの増殖に必須の鉄獲得機構を明らかにすることを最終目標として、研究期間内に①システインプロテアーゼ(PI1993, PI0811)の酵素学的性質の解析およびヘモグロビン分解への関与②iht, tlr systemによるヘムの菌体内取り込みへの関与③ftnAの酵素学的性質の解析および菌体内鉄貯蔵への関与④一連の鉄獲得機構の環境変化に対する発現応答 を行う計画としていた。2014,2015年度でおおむね計画通りに遂行できた。本研究課題を遂行する際、システインプロテアーゼ(PI1993, PI0811)がヘモグロビン以外のタンパク質(IgG、フィブロネクチン)を分解することが分かり、増殖に必須である上に、宿主への感染成立のための重要な因子と考えられた。現在までに。P. intermediaの鉄獲得機構に関与する一連の酵素群の鉄獲得への応答を明らかにした。これに加えて、本研究では、システインプロテアーゼの鉄獲得機構への関与を明らかにするために、現在、これらの抗体を作製中であり、抗体作製後に解析予定であるので、達成度をやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに鉄獲得機構酵素(溶血素群、Hb分解酵素群、鉄貯蔵酵素)の酵素学的な解析を行い、これらの遺伝子群およびヘムの菌体内取り込み系の表層レセプタータンパク質の環境変化に対する発現応答を解析した。鉄獲得機構についての知見は、歯周ポケット内での本菌の増殖や、それに続く疾患の発症・進行への関与を知る上での基礎的な知見となる。本菌のHb分解酵素であるシステインプロテアーゼの増殖への影響を明らかにするために、システインプロテアーゼに対する抗体を作製し、菌体のシステインプロテアーゼをブロック後、P. intermedia菌体中のHb分解活性の測定、および鉄獲得機構が本菌の増殖に及ぼす影響を解析する。システインプロテアーゼが病態に関与する疾患の治療には、システインプロテアーゼに対して阻害作用を有する物質を用いた治療に応用できると考えられ、新たな治療法開発のための基礎的な知見になると考えられる。
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Causes of Carryover |
抗体作製用に組換えタンパクを精製し、抗原として用いる予定であったが、タンパク質の発現量が少なく、免疫に必要量の抗原の精製に時間を要したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
システインプロテアーゼに対する抗体を作製し、菌体のシステインプロテアーゼをブロック後、P. intermedia菌体中のHb分解活性の測定、および鉄獲得機構が本菌の増殖に及ぼす影響等の機能解析を行う。
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Research Products
(3 results)