2014 Fiscal Year Research-status Report
骨内の上皮間葉転換における脱ユビキチン化酵素USP45の役割の解明
Project/Area Number |
25861771
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 宗一 北海道大学, 大学病院, 助教 (20548200)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / EMT / 脱ユビキチン化酵素 / USP45 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、骨微少環境にさらされたがん細胞は上皮間葉転換(EMT)が誘導され、強い悪性形質を獲得する事を、invivoで見いだした。そのメカニズムを解析する中で、EMT促進因子Snailに結合し安定化にはたらく脱ユビキチン化酵素USP45を同定し、さらに、骨転移治療に用いられるビスホスホネート製剤ゾレドロン酸(ZOL)がUSP45の酵素活性を抑制することを生化学的に明らかにした。本研究の目的は、USP45特異的阻害剤の創出に向けた研究基盤を確立することである。具体的な研究項目は、①がん細胞に発現するUSP45の骨微少環境における発現調節機構の解析。②ZOLによるUSP45抑制メカニズムを生化学的に解析する事である。現在までは、ZOLのEMTへの影響、SnailとUSP45の相互作用の解析、USP45の発現調節機構の解析を継続してきた。さらにSnailおよびUSP45の安定発現細胞株の樹立を行った。なお、USP45の機能解析についての論文報告はないため、USP45の酵素活性を欠失させた変異体を作成し、同様に安定発現細胞株を作成し、USP45の機能解析も並行して行った。本研究は、ZOLが乳がん患者の生命予後を改善することを、分子生物学的に明らかにすることが目的の一つではあるが、メカニズムの概要は概ね理解できている。また、USP45の生化学的特徴の一端が、明らかになってきており、創薬への足がかりとして新たな展開を期待できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年7月より、北海道大学病院において、歯科医師の救命救急研修が開始された。申請者はこの新たな取り組みに参加することとなり、平成26年12月までの6ヶ月間この研修に専従することが義務づけられた。そのため、研究に対して十分なエフォートをさくことができず、実験の維持管理が主となった。このような経緯があったことより、研究期間の延長手続きをとり、承認を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、研究を一時中断していた経緯があるものの、当該年度については、問題なく推進できる状態にある。
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Causes of Carryover |
達成度に記載したように、北海道大学病院救急科における研修が義務づけられ、半年間研究の遂行ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間の延長手続きをとり、承認されている。当初の計画通り研究をすすめる事が可能な状況にある。当該年度には、学会発表、論文投稿予定としており、研究費の使用は主にこれらに、当てる予定である。
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