2013 Fiscal Year Research-status Report
進行性下顎頭吸収の発症メカニズムの分子生物学的解析
Project/Area Number |
25861774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野上 晋之介 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70573575)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 進行性下顎頭吸収 / サイトカイン / 仮骨延長 |
Research Abstract |
本研究の目的は動物(ウサギ)を用いて顎矯正治療モデルを再現し、分子生物学的に解析することで進行性下顎頭吸収のメカニズムを行うことである。まず、平成25年度は下顎頭吸収モデルを確立することであり、μ-CTを用いた骨吸収部の微細構造評価、さらには組織学的検討を行うことである。 ウサギを塩酸ケタミン60mg/kg筋注とペントバルビタールナトリウム0.35mg/kg緩徐静注による全身麻酔を施し、顎下部正中切開で両側の下顎骨下縁を露出させ、皮質骨骨切りは下顎最後臼歯後方で行った。骨切り部位から対称的にキルシュナーワイヤー(直径2.0mm)を2本ずつ計4本経皮的に貫通させ、結紮線と即時重合レジンによって自作製延長装置と固定した。前方へ延長させたものを下顎頭部の伸展群、後方へ延長させたものを圧縮群の2群に分ける。各群、待機期間を設けずに0.25mm/回を2回/日のペースで10日間、計5mmの延長を行った。術後は感染予防にセファゾリンナトリウム50mg/kg/日を筋注投与した。各群延長終了直後、1週後、2週後、4週後に2羽(4側)ずつ計16羽(32側)の試料採取し、下顎頭部の骨吸収を画像検査・組織学的検査により検証した。 μ-CTでは各群において伸展群のほうが圧縮群よりも下顎頭部に吸収を認めた。またいづれも下顎頭部の前方部において吸収が顕著に認められ、延長終了後2週目において吸収が著しかった。 組織学的評価ではHE染色で下顎頭軟骨層の厚みの減少、軟骨細胞層の乱れが認められ、μ-CTにおいて吸収が認められた下顎頭前方部ではTRAP陽性を示す破骨細胞が多数存在していた。現在、軟骨層の評価として免疫染色を行い評価をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は下顎頭部吸収モデルを確立することであり、そのモデル作製段階として組織学的評価で免疫染色を用いた評価が完了していないため。ただし、その評価は現在進行中であり現時点での進行状況としてはおおむね良好といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度で行ったプロトコールに従い、個体数を増やし画像評価、組織学的評価を完了させる。また、各群3羽ずつ下顎骨延長を行い、顎関節の滑液を採取し顎関節の滑液を解析する。 滑液解析ELISA法、CBA法を用いて各種サイトカインIL-1β、IL-6、TNF-αのタンパク量を測定する。本研究では滑液解析を2つの方法で行うことにしているが、これはサイトカインのタンパク量をより確実に測定するためである。しかし、採取する滑液が少量である場合は、微量のサンプルから同時に数種類の物質の濃度を網羅的に測定することができる利点をもったCBA法を優先して行う予定である。
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