2013 Fiscal Year Research-status Report
インフラマソームが繋ぐ宿主・寄生体相互関係における炎症シグナル機構の解析
Project/Area Number |
25861775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
沖永 敏則 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60582773)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インフラマソーム / ピロトーシス / 自然免疫 / 歯周病細菌 |
Research Abstract |
最近の研究で、炎症においてインフラマソームと呼ばれる細胞質内タンパク複合体がさまざまな生命現象において重要な役割を果たしていることが報告されているが、この複合体が関与する炎症誘導性の細胞死(ピロトーシス)のメカニズムに関しては全く不明である。今回の研究では、歯周病細菌が細胞内に侵入した後のインフラマソームの役割について、宿主微生物相互関係の観点から解明を行う。その過程で、細菌を認識する細胞質内受容体の情報伝達系およびインフラマソーム形成分子のピロトーシスにおける役割を分子レベルで明らかにすることを目的とした。 歯周病細菌感染の実験系を用い、細菌感染に対して応答する宿主細胞の因子および宿主応答を促す歯周病細菌由来の病原因子について、宿主・寄生体の相互作用の観点から検証した。歯周病原性細菌感染が誘導する炎症メカニズムについて解明し、あわせて、歯周病原性細菌感染により誘導されるピロトーシスについて、宿主細胞内のシグナルを分子生物学的および遺伝工学的解析法を用いて解明した。平成25年度は、我々が確立している歯周病原性細菌感染実験系を用いて、歯周病細菌<i>Aggregatibacter actinomycetemcomitans</i>感染による宿主応答について網羅的な解析を行った。歯周病細菌感染が免疫細胞マクロファージに誘導するインフラマソーム活性化の解析、歯周病細菌侵入を認識する細胞内受容体の検索、さらにインフラマソーム活性化を誘導する歯周病細菌の病原因子の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究は、宿主微生物相互関係の観点に立って、歯周病細菌が誘導するインフラマソームおよびピロトーシスのメカニズムを解析することで、歯周病細菌感染と全身疾患の関与について、分子生物学的手法で明らかにしていくものである。当該年度では、研究申請書に記載した研究計画に基づき、順次解析を進めることが出来ている。来年度に向け、ベースとなる実験結果を得ることが出来たことから、おおむね順調に経過していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成26年度】 平成25年度の実験内容を継続・発展させるために以下の実験を行う。 ①歯周病原性細菌感染マウスモデルの確立:ここでは、歯周病原性細菌由来のLPSおよび凍結乾燥菌体を腹腔投与し、全身的な歯周病原性細菌感染モデルを確立する。②インフラマソーム関連因子欠損マウスの作成:平成25年度で同定した歯周病原性細菌感染に重要な因子についてノックアウトマウスを作成する。③インフラマソーム関連因子欠損マウスにおける歯周病原性細菌侵襲による宿主応答の評価:歯周病原性細菌感染に対する炎症応答について血中サイトカインの計測により検証する。④全身疾患発症マウスにおける歯周病原性細菌が誘導するインフラマソームの役割の評価:糖尿病モデルマウス C57BLKS/Jおよび動脈硬化モデルマウスApoE欠損マウスに歯周病原性細菌感染モデルを作用し、インフラマソーム活性化による影響を検討する。糖尿病モデルおよび動脈硬化モデルについては、血中のサイトカイン量についてELISA法により評価する。また血管内皮周囲組織における免疫細胞(マクロファージM1/M2型 Th1/Th2細胞、B細胞など)の組織内分布を免疫染色により観察する。
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Research Products
(4 results)