2013 Fiscal Year Research-status Report
薬物性歯肉増殖症の発症機序と新規薬物療法―アポトーシス制御遺伝子との連関―
Project/Area Number |
25861780
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
竹内 麗理 日本大学, 歯学部, 助手(専任扱) (60419778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬物性歯肉増殖症 / フェニトイン / アムロジピン / 歯肉由来線維芽細胞 / 細胞周期 / アポトーシス / 18α-グリチルレチン酸 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フェニトイン誘発歯肉増殖症の発症機序の解明および薬物療法の確立である。そのために、フェニトイン誘発歯肉増殖症患者由来の歯肉組織中におけるアポトーシス制御遺伝子の発現およびタンパク質の局在を解析し、培養歯肉線維芽細胞および上皮細胞のアポトーシスに対する18α-グリチルレチン酸とグリチルリチンの効果を検討する。フェニトイン誘発歯肉増殖症は薬物の副作用により発症する薬物性歯肉増殖症の一つであり、その原因薬物としてカルシウム拮抗薬のニフェジピンやアムロジピン、免疫抑制薬のシクロスポリンなども報告されている。これまでに、これら薬物が歯肉由来線維芽細胞の細胞周期やアポトーシスの制御機構に影響を及ぼしていることが明らかにされている。平成25年度には、アムロジピンの歯肉由来線維芽細胞の細胞周期への影響が検討された。その結果、アムロジピンは、塩基性線維芽細胞成長因子存在下で、歯肉由来線維芽細胞の細胞周期G1期からS期への移行を抑制することが示された。さらに、その機序として、細胞周期制御因子のサイクリン依存性キナーゼ1、2、4およびサイクリンA、D1、EのmRNA発現低下が関与していると考えられた(Takeuchi et al., J Oral Tissue Engin 2013)。また、18α-グリチルレチン酸の歯肉由来線維芽細胞の細胞周期およびアポトーシスへの影響を検討し、その結果、18α-グリチルレチン酸は細胞周期の進行を阻害しアポトーシスを誘導することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の実験計画は、フェニトイン誘発歯肉増殖症患者から歯肉組織を採取し、アポトーシス制御遺伝子発現およびタンパク質局在をin vivoにて解析し、また初代培養細胞を樹立させることであった。現在、歯肉増殖症患者を選定中で、平成26年度に歯肉組織を採取する予定である。また、培養ヒト歯肉線維芽細胞を購入し、in vitroにおいて、この細胞の細胞周期およびアポトーシス制御遺伝子およびタンパク質の発現と歯肉増殖症誘発薬物との相互関係を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に引き続き、次の実験を試みる。先ずは、薬物誘発性歯肉増殖症患者および歯肉炎罹患患者から歯肉組織を採取し、この試料のアポトーシス制御遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRアレイシステムにより解析し、薬物性歯肉増殖症発症の原因遺伝子を同定する。そして、変化が認めれた遺伝子について、両組織中の歯肉線維芽細胞および歯肉上皮基底細胞層のタンパク質局在を免疫組織化学的方法で検討する。さらに、歯肉増殖症患者の歯肉組織から線維芽細胞および上皮細胞を初代培養し、歯肉増殖症誘発薬物とこれら細胞の遺伝子およびタンパク質発現との相互関係をin vitroにて解析する。加えて、培養ヒト歯肉線維芽細胞でも同様のin vitro解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の実験計画は、1)フェニトイン誘発歯肉増殖症患者から歯肉組織を得てin vivoでの解析を行うこと、2)この試料から初代培養細胞を得てin vitroでの解析を行うこと、であった。本年度には、歯肉増殖症患者の選定まで実施し、また培養ヒト歯肉線維芽細胞を購入し、in vitroでの解析を行った。次年度、1)について試料採取および解析を行い、さらに2)を実施する。 次年度には、消耗品(PCR試薬、プライマー、抗体、免疫組織化学用試薬、Western Blotting用試薬、組織培養関連試薬(培養液、血清、緩衝液等)など)を購入する。機器については、現有設備(PCRシステム、免疫組織染色用機器、組織培養用機器(CO2インキュベーター、クリーンベンチ)、電気泳動装置およびレーンアナライザーなど)を使用するため、購入の必要はない。また、研究成果を発表するため、国内外の学会への参加費および学術雑誌への投稿費として研究経費を使用する。
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