2014 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン分解酵素阻害剤と再石灰化作用を持つ”自己強化型接着システムの開発”
Project/Area Number |
25861792
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 礼奈 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (40613609)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 象牙質透過性 / ハイドロキシアパタイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではコラーゲン分解酵素阻害剤と象牙質再石灰化作用を併せ持つ、自己強化型接着システムの開発を目的としている。従来から接着システムを使用する際に弱点であった接合界面を強化することにより、長期安定性があり高い機械的強度を持つ象牙質レジン複合体を生成していきたい。接合界面を劣化させる要因としては、接着システム自体の吸水、接着界面の劣化、象牙質透過性の問題があげられる。象牙質は65-70%が無機質(ハイドロキシアパタイトの結晶の大きさはエナメル質と比べてはるかに小さい)、18%程度が有機質、12%が水分という組成であり、有機質が90%以上のエナメル質に比べると接着がはるかに難しいといえる。 今年度は、接着システムを象牙質に塗布した場合の象牙質透過性の経時的変化を測定した。さらに、in vitroの実験であるが口腔内環境により近づけるために、保存液についての検討を行った。保存液についての検討は、当初の実施計画にはなかったが、蒸留水と人工唾液の間では大きさ差異があることがわかり、今後の研究に多いに役立つ知見が得られた。また、象牙質透過性の変化を測定する際、基準となる象牙質透過性の測定に、従来多く行われてきたリン酸などの酸を用いる手法ではスメア層が完全に除去されてしまい、接着条件が臨床での状況と大きく異なってしまう。最適な表面処理方法の検討に時間を割くことになり、測定手技の確立に時間がかかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
象牙質透過性の変化を測定する際、基準となる象牙質透過性の測定に、従来多く行われてきたリン酸などの酸を用いる手法ではスメア層が完全に除去されてしまい、接着条件が臨床での状況と大きく異なってしまう。最適な表面処理方法の検討に時間を割くことになり、測定手技の確立に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
象牙質の再石灰化を促進させる微量元素としては、これまでにF, Ca, P, Mg, Si およびAl が判明している。すでに再石灰化に有効なハイドロキシアパタイト(HAp)をランタン系列元素に見いだしており、ボンディングシステムに不可欠な酸性モノマーとの配合により、長期安定性のある高い機械的強度を持ったレジンー象牙質複合体を生成しうると考えられる。
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Causes of Carryover |
実験手技の確立に時間を費やしたことが今年度の研究計画の遅れにつながったたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電子顕微鏡、分析機器消耗品、分析機器保守整備経費、実験用器具、試薬、接着材料の購入を予定している。
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