2013 Fiscal Year Research-status Report
根管内破折したNiTiファイルを腐食により脆弱化させて除去を容易にする方法の確立
Project/Area Number |
25861807
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
高橋 哲哉 明海大学, 歯学部, 助教 (40547478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニッケルチタンファイル / 破折器具の除去 / 腐食 |
Research Abstract |
[目的]申請者はこれまでの研究で、2種類の溶液に3~24時間浸漬することでNiTiファイル破折片が腐食溶解し、溶液によってその腐食様相が異なることを明らかにした。また、溶液温度の上昇および通電によって腐食溶解にかかる時間が短縮すること、間欠的な浸漬においても連続的な浸漬と同様の効果があることを明らかにした。しかし、臨床応用するためにはより効果的・効率的な腐食溶解が求められる。そこで平成25年度の研究では、腐食溶解に要する時間をより短縮するために、腐食様相の異なる2種類の溶液を相互的に作用させるハイブリッドな条件がNiTiファイルの腐食に及ぼす影響を検討した。 [方法]NiTiファイルはProTaper(Dentsply Maillefer)F2を使用した。NiTiファイルは先端より5mmの部位で回転して破断させたものを試料とした。浸漬薬液には、10%(w/v) 次亜塩素酸ナトリウム溶液に19%(w/v)塩化ナトリウムを加えて調製した薬液(以下NCN)と、pH4.5に調整したリン酸酸性2%(w/v)フッ化ナトリウム溶液(以下APF)を、37℃に設定し1試料当たり5ml用いた。NCNに浸漬し続ける群(N群)、APFに浸漬し続ける群(A群)、NCNに浸漬後APFに浸漬する群(NA群)そしてAPFに浸漬後NCNに浸漬する群(AN群)を準備して、浸漬前後の重量を測定した。 [結果]すべての実験群でNiTiファイルの重量の減少が認められ、AN群、N群、NA群、A群の順に重量の減少が多かった。特にAN群では他の実験群と比較して重量減少が著しく、有意水準1%で有意差が認められた。 [結論]NiTiファイル破折片をAPFへ浸漬した後にNCNへ浸漬することで、効果的な腐食溶解時間の短縮が可能であった。臨床における治療時間を考慮した場合には、NiTiファイル破折片の短時間での腐食溶解が必要であり、破折片の除去法を確立し臨床応用するために、本年度の結果は極めて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画では、これまで明らかになっている溶液温度・間欠的な作用・通電条件に加えて、新たに明らかになったハイブリッドな作用を組み合わせることが、NiTiファイル破折片の腐食溶解に及ぼす影響を検討し、より臨床応用に適した条件の検索までを行う予定であった。2種類の溶液のハイブリッドな作用の検討に対して、条件設定のための予備的実験に思いのほか苦慮を重ねたため、より臨床応用に適した条件の検索に関しては現在実験中となっている。今年度の研究では、NiTiファイル破折片をAPFへ浸漬した後にNCNへ浸漬することで、効果的な腐食溶解時間の短縮が可能であることが明らかとなった。このことは破折ファイルの除去法を確立するために重要であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で明らかになっている条件を総合的に組み合わせた条件設定を検討し、より臨床応用に適した条件を検索する。また、根管模型上でNiTiファイル破折片の腐食溶解実験を行うことで、破折ファイルの除去法の確立を目指していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2種類の溶液のハイブリッドな作用の検討に対して、条件設定のための予備的実験に思いのほか苦慮を重ねたため、予定よりNiTiファイルの使用量が少なかったために、次年度使用額が生じた。 これまでに明らかになっている条件を組み合わせて実験を行うため、NiTiファイルを多量に使用する予定である。模型を使用した除去実験では根管模型を多量に使用する予定である。また、研究成果を国内学会で発表予定であり、その旅費として使用予定である。
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Research Products
(5 results)