2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノインデンテーションを応用したエナメル小柱の物理的特性の解明
Project/Area Number |
25861808
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
荻野 玲奈 (田中玲奈) 昭和大学, 歯学部, 助教 (80585779)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | エナメル質 / 物性 / 応力ひずみ曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル質の大部分はエナメル小柱で構成されるため,エナメル質の物理的特性を評価するには,エナメル小柱に限局したナノレベルの物性試験を行うことが必要である.本研究の目的は,超微小な球状圧子を用いたナノインデンテーション法により小柱間エナメルタンパクの影響を受けずにエナメル小柱にナノレベルの準静的試験を行い,エナメル質の物理学的特性を応力ひずみ曲線で表すことである. 矯正治療により便宜抜去した健全な第三大臼歯をエポキシ樹脂にて包埋し,エナメル小柱の長軸方向と垂直に切断しエナメル質表面を0.05μmまで研磨した.トライボインデンターTi 950, Hysitron)に直径0.5μmの球状ダイヤモンド圧子を用い,標準試料として溶融石英サンプルで圧子の校正を行った.SPM観察下で溶融石英とエナメル小柱に,それぞれ最大荷重500μN および300μNでパーシャルアンローディングを行った.同様にエナメルサンプルに35%過酸化水素とハロゲンランプを用いてオフィスホワイトニング(OB)処理を行い,300μNでパーシャルアンローディングを行った.求められた結果をナノインデンテーションデータ解析ソフトを用いて解析し,平均接触面積に対する圧力とひずみから応力ひずみ曲線を求めた.解析結果から溶融石英の応力ひずみ曲線図は連続した曲線を示した.未処理およびOB処理したエナメルサンプルにおいても,溶融石英と同様に連続した応力ひずみ曲線を得ることができた.球状圧子を用いたことでサンプル表面にナノスケールで連続したひずみが与えられた.本研究により得られたエナメル質の応力ひずみ曲線は変曲点が明らかであった.またOB処理によりエナメルサンプルの応力ひずみ曲線に変化がみられた.以上から,球状圧子を用いたナノインデンテーション法により,エナメル質においてナノレベルで応力ひずみ曲線が適用できることが明らかになった.
|