2013 Fiscal Year Research-status Report
劣化促進モデルを用いた義歯床用材料の劣化評価方法の提案
Project/Area Number |
25861825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 裕尚 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80586511)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌 / 義歯 |
Research Abstract |
義歯床用材料として広く用いられる歯科用アクリルレジンは、歯科用樹脂の中で優れた耐候性を持つが、義歯の長期使用により、材料表面の粗造化や物性の低下など材料そのものに経年的な劣化が起こる。このような劣化を起こした材料表面のみならず内部にも微生物が繁殖し、微生物叢(バイオフィルム)を形成することが予想される。そのため、義歯そのものが、義歯使用者や免疫機能低下者の口臭や日和見感染症、誤嚥性肺炎などの重篤な呼吸器感染症を発症する病原性因子になる。また、長期間使用した義歯は、咬合力や義歯洗浄剤などの物理的、化学的ストレスにより、材料表面の粗造化や微小なポア、クラックなど微生物が侵入可能な大きさの劣化が生じる。 しかし、これらの劣化について発生機序や評価方法などは不明な点が多い。そこで、細菌による材料の劣化評価にあたり、各種義歯床用材料として用いられるアクリルレジン系材料、シリコン系材料における唾液による表面処理後の性状について検討することとした。義歯床用アクリルレジン、軟性裏装用アクリルレジンおよび軟性裏装用シリコン材料にて試料を作製し、唾液処理後の表面粗さ、水接触角度の測定、Streptococcus mutansの付着菌量を蛍光色素を用いて定量した。義歯床用アクリルレジンと軟性裏装用アクリルレジンは唾液処理により表面粗および表面濡れ性が向上したのに対し、軟性裏装用シリコンは、唾液処理により表面粗さや濡れ性にほとんど変化を示さなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細菌付着性については、蛍光色素を用いた微量な細菌付着について基礎的検討を行ってきた。しかし、細菌の培養後のインキュベート時間の違いにより、その活性が大きく減弱し、材料表面への付着に関しても影響することが分かった。そのため、培養後のインキュベート時間を可及的に短縮するなどの検討が必要となり、当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
細菌付着性について、培養、増殖後のインキュベート時間短縮に対する対策として、培養液の濁度を継時的に測定することにより、適切な培養時間がある程度予測でき、改善の目途が立った。義歯床用アクリルレジン、軟性裏装用アクリルレジン、軟性裏装用シリコンに加えて、CAMにより作成したCAMアクリルレジン表面への細菌付着性について検討を進める。また、弾性率などの機械的特性や表面性状についても合わせて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めるうちに、実験試料1つに対して必要となる実験試薬の量を抑えて実施することができるようになったため次年度使用額が生じた。 新たな材料による試料での実験を進めており、これら追加試料分の試薬購入費として充てる予定である。
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