2015 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病モデルマウスに対するヒト歯髄幹細胞の有効性の検索とメカニズム解明
Project/Area Number |
25861906
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
大迫 洋平 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 幹細胞再生医療研究部, 流動研究員 (40644943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 再生医療 / 歯髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々のグループではこれまでに、ヒト歯髄間葉系幹細胞 (hDPSCs) は血管新生能、神経再生能ともに優れており、各種神経栄養因子も高発現し、trophic効果が高いことを明らかにしてきた。 近年、脂肪由来の間葉系幹細胞はネプリライシン (アルツハイマー病の原因物質といわれるAβ42の主要な分解酵素) 含有エキソソームを分泌することが明らかにされるなど(Katsudaら, Scientific Reports, 2013)、アルツハイマー病に対する間葉系幹細胞由来成分の効果が示唆されつつある。 我々は、hDPSCsの培養上清 (hDPSCs CM) から超遠心分離法によりCD81 (エキソソームマーカー) 陽性のエキソソーム画分を回収し、当該画分にネプリライシンが含まれているかをウェスタンブロット法により検討した。その結果、hDPSCs CM由来のエキソソーム画分にもネプリライシンが含まれていることが明らかになった。 本研究課題では昨年度までに、in vitroにおいてSH-SY5Y (株化神経細胞) のAβ42処理による細胞死がhDPSCs CMの添加によって抑制されることも明らかにしていることから、hDPSCs由来成分による抗アルツハイマー病効果として1) hDPSCsが分泌する各種神経栄養因子による神経細胞保護作用、2) hDPSCs由来エキソソームに含まれるネプリライシンによるAβ42除去作用が想定される。 以上の研究から、これまで明らかでなかった歯髄幹細胞由来成分によるアルツハイマー病に対する効果とその作用機序が示唆された。今後、hDPSCs移植(脳への直接注入あるいは静脈注射による投与など)によるアルツハイマー病治療法開発のための基盤となることが期待される。
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