2014 Fiscal Year Research-status Report
超音波とナノバブルを利用した分子デリバリーによる疼痛制御法の確立
Project/Area Number |
25861908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
的場 あつ子(青井あつ子) 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70547257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 術後疼痛制御 / ナノバブル / 分子デリバリー / GDNF |
Outline of Annual Research Achievements |
術後急性疼痛や慢性疼痛の制御の手段として、物理学的分子デリバリー法を使用した。本手法では、ナノバブル(直径1μm未満の脂質二重膜微小気泡)に超音波を照射することで、細胞内にプラスミドDNA、薬剤、色素等の分子を移行させることが可能であり、副作用が少ないため臨床への応用が期待されている。 本研究では、GDNF:grial cell line-derived neurotrophic factor (グリア細胞株由来神経栄養因子)を疼痛部位や支配神経周囲へ導入することで、良好な覚醒状態を維持した鎮痛療法を確立することを目的としており、本年度は以下の実験を行った。 前年度の結果に基づき、鎮痛効果の評価に対して追加実験をおこなった。ナノバブルとGDNFの混合液をラットの足底にマイクロシリンジで注入し、直ちに同部位へ超音波を照射してGDNFプラスミドの導入を行った。遺伝子導入の4日後に、足底切開法にて術後疼痛モデルラットを作成し、切開の10日後まで自発痛・機械刺激・熱刺激に対する疼痛を評価した。鎮痛効果はそれぞれ、Guarding pain score、Von Frey試験、赤外線熱刺激試験で評価した。前年度と同様に、対照群と比較して、プラスミド群において、自発痛の抑制、機械刺激に対する閾値の上昇が切開の1日後から有意に認められた。一方、熱刺激に対する鎮痛効果は前年度よりサンプル数を増加させることで、術後10日目においても有意差が認められた。 一方で、GDNFの足底での発現確認は難航している。他の神経栄養因子・サイトカインに与える影響について調査中であるが有意な結果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の主体である鎮痛効果の評価は本年度で終了したが、足底でのGDNFタンパクの発現確認、他の神経栄養因子・サイトカインに与えるの影響についての調査が難航しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
GDNFタンパクの発現量が少なく、タンパク同定が困難なため、GDNFレセプターの発現量の増減等、別の評価法を考慮する。
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Causes of Carryover |
前年度に購入予定であったプランタ式鎮痛効果測定装置の購入を見合わせたことに伴い発生した未使用額である。 本年度の研究費使用量は当初の申請どおりである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究遂行に使用予定である。 当初の計画で評価が難航しているため、分析装置の購入も考慮する。
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