2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌における癌幹細胞の治療抵抗性機構の解明
Project/Area Number |
25861909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 貴洋 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (40444012)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
近年、癌組織中には、自己複製能と分化能を有するごく少数の癌幹細胞(Cancer stem cell;以下CSC)が存在し、このCSCにより癌組織が形成・維持されているということが明らかとなってきている。同時にCSCは従来の化学療法や放射線療法に対して抵抗性を有しており、癌の再発や転移の原因細胞で癌の根治を目指すための標的と考えられているが、これらの機構はほとんど明らかとなっていない。 そこで、本研究では、口腔扁平上皮癌のCSCにおける治療抵抗性の機構を解明し、新しい癌治療法の開発への足がかりとすることを目的として実験を行っている。 口腔扁平上皮癌細胞株のCSCにおける、治療抵抗性の機構を解明するために平成25年度は以下1、2の実験を計画した。 1.口腔扁平上皮癌細胞株からの癌幹細胞マーカー陽性細胞の分離・回収、超免疫不全マウスへの移植による CSCの確認 2.CSCの化学療法や放射線療法抵抗性と細胞シグナル伝達分子の変化 上記1.について、各種ヒト口腔扁平上皮癌細胞株を用いて癌幹細胞マーカーとして報告されているCD44、CD133、ALDH抗体を用いてラベルをし、フローサイトメーターを用いて陽性細胞率を検索した。いずれの癌幹細胞マーカーも陽性細胞率は低値であり、このままでは実験に必要な細胞数を満たさず、その後の実験を遂行することができない。そこで、過去に報告された方法(Serum free medium にEGFおよびbFGFを加えたもので培養することで、CSCの割合が2%から40%に増加した。Okamoto et al. Oral Oncol 2009;45:633-639)を行い、実験に必要な陽性細胞数の確保の方策を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の遅延の原因として、 1.本研究室がある研究棟の改修工事のため、実験環境が整わず、細胞培養を行うことが出来ない期間が長期に及び、実験開始が大幅に遅延してしまったこと。 2.当初の想定より癌幹細胞のマーカーの陽性細胞率が低く、このままでは細胞数が少なく、その後の実験を遂行することができないため、細胞培養の方法を変更し、陽性細胞数を増加させる最適な方法の検討が必要となったこと。 主に上記の2つの原因が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの実験では、癌幹細胞マーカーの陽性細胞率は低値であり、実験に必要な細胞数を満たさず、このままではその後の実験を遂行させることが困難な状況である。そこで、過去に報告された方法(Serum free medium にEGFおよびbFGFを加えたもので培養することで、CSCの割合が2%から40%に増加した。Okamoto et al. Oral Oncol 2009;45:633-639)を行い、陽性細胞率の増加を試みているところである。出来るだけ早期に癌幹細胞マーカー陽性細胞の回収率を向上させる方法を確立させ、実験を進めていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験では、口腔扁平上皮癌細胞株において、癌幹細胞マーカーの陽性細胞率が想定よりも低く、本年度予定していた動物および細胞株を用いる実験に必要な細胞数を確保することができなかった。この問題を解決するために、より最適な細胞培養法等を検討することが予定外に必要となり、現在も検討の途上である。以上の理由により、当初本年度に計画していた実験を遂行することができなかったために次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、当初計画していた動物および細胞株を用いる実験を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した実験に必要な経費として平成26年度請求額とあわせて使用する予定である。
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