2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔組織幹細胞の有用性と限界を探る挑戦的基礎研究:各幹細胞に適した再生医学の開発
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25861912
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
阿部 成宏 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (00510364)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 神経堤幹細胞 / Neurosphere / 口腔粘膜 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生体内の多くの正常組織には、自己複製能と多分化能を保持した幹細胞とよばれる未熟な細胞集団が存在し、組織の発生や損傷修復において極めて重要な役割を果たしている。顎口腔領域においても、現在までに多くの幹細胞分離とその性状解析に関する報告が相次いでおり、その分野に関する国民の関心も高い。現在までに、多くの顎口腔領域の組織幹細胞が同定され報告されている。申請者も一貫して歯髄、歯根膜、口腔粘膜上皮ならびに口腔粘膜間葉系の幹細胞の分離・同定と再生医療への応用を視野に研究を行っている。そのうち、口腔粘膜は抜歯の必要もなく、最も簡単に採取が可能である。従来、口腔粘膜においては、硬組織ではないために免疫不全マウスの皮下組織での硬組織再生は非常に難しい。 そこで、本研究では、口腔粘膜幹細胞を個体差なく単離し、硬組織ではない口腔粘膜細胞からのin vivoでの骨再生を可能にすることを目的とした ヒト口腔粘膜間質細胞を単離し、Neurosphere法にて、口腔粘膜固有層に存在する幹細胞様の細胞集団を同定・単離した。NeurosphereにてSphere形成した細胞集団は、神経堤幹細胞マーカーならびに神経堤関連マーカーの発現上昇を認めた。これらの細胞集団は、適切な環境下で、硬組織形成細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、神経細胞系統への分化が可能であった。さらに、ポリ乳酸系スキャホールドに播種し、免疫不全マウスの皮下組織へ移植しても、硬組織再生が可能であった。 ヒト口腔粘膜は、簡便に採取できる有用な細胞供給源であり、硬組織再生を含めた神経堤細胞系統への再生医療における重要な役割を果たす可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に関しては、実験自体は順調に進んでいたが、個体数を増やして行ったため、サンプル採取の問題で、初代培養から実験可能な細胞数に増殖させるまでに時間を要した。また、遺伝子発現に関しては、マイクロアレイデータの解析等に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での実験結果はほぼ整っている。 ただちに、研究成果を論文にて投稿予定である。
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Causes of Carryover |
実験に関しては個体数を増やして、実験を遂行したため、個体数の確保と必要な細胞数まで増殖させるための初代培養・継代培養に時間を要してしまった。 遺伝子発現に関しては、マイクロアレイを行い、その解析に時間を要してしまった。 以上の理由で、論文作成、投稿、受理まで完了するに至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現時点でのデータをまとめ、論文投稿準備中である。したがって、次年度予算は、英文校正、論文掲載料ならびにリバイス実験費用に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)